韓国の安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官と米国のヘグセス国防長官は4日、ソウルでSCMを開いたが、韓米の関税・安全保障分野の交渉結果をまとめた「共同ファクトシート」がこの日発表されるのを待ってから共同声明が発表された。
共同声明には「在韓米軍が70年以上にわたり遂行してきた重要な役割に注目する」としつつ、「朝鮮半島での武力衝突を防止し、北東アジアの平和と安定を促進するため、在韓米軍の戦力と態勢の水準を維持することを改めて確認した」とし、「現在の戦力維持」との文言がなくなった。
同文言は2008年の声明に初めて登場し、2020年を除き、昨年まで毎年声明に盛り込まれていた。第1次トランプ政権だった2020年には在韓米軍の駐留経費負担交渉が膠着(こうちゃく)状態に陥り、韓国側への圧力を強めるため米側が意図的に文言を削除したとされた。
今回は第2次トランプ政権が新たに策定している国防戦略による在韓米軍の削減、または在韓米軍の戦略的柔軟性の強化の可能性を念頭に置いたとみられる。
米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国への移管に関しては、「条件に基づく統制権移管」の原則を再確認し、「今年の(移管条件の)評価で意味のある進展があった」と評価。移管に必要な条件を満たすのに必要な能力の確保に向けたロードマップを発展させ、韓米連合軍司令部に代わる未来連合軍司令部の完全運用能力(FOC)検証を2026年に進めることを確認した。
有事作戦統制権の移管には初期作戦運用能力(IOC)、完全運用能力(FOC)、完全任務遂行能力(FMC)の3段階の検証を経る必要があり、現在は第2段階のFOC検証が進められている。FOCの最後の手続きの未来連合軍司令部に対する検証が来年中に終われば、第3段階のFMCに移行する。計画通りに進めば李在明(イ・ジェミョン)大統領の任期中の移管も視野に入る。
また、両長官は韓国の国防費を国内総生産(GDP)比で3.5%に増やすことで一致した。安氏は 可能な限り早期に国防費をGDP比で3.5%に増額すると説明し、ヘグセス氏はこれを高く評価した。
韓国国防部は国防費のGDP比を今年の2.32%から遅くても2035年までには3.5%に引き上げる方針だ。来年以降の名目GDP成長率を3.4%と想定し、国防費を毎年7.7%増額すれば、2035年には国防費が128兆4000億ウォン(約13兆6000億円)に増え、GDP比では3.5%に上昇する。
安氏は韓国が朝鮮半島防衛で主導的な役割を果たすための中核的な国防能力を確保すると強調した。
一方、北朝鮮への圧力のトーンは抑えられた。昨年の声明には「米国や同盟国、友好国に対する北朝鮮のいかなる核攻撃も容認できず、結局は金正恩(キム・ジョンウン)政権の終末を招く」と警告するメッセージが入ったが、今年はこのような文言はなかった。
また、昨年には「制裁と圧力を通じ北朝鮮の核開発を断念させ、遅らせる努力を進める」との文言があったが、今年は「制裁と圧力」が削除された。
トランプ米大統領が意欲を示している米朝首脳会談を念頭に、北朝鮮への圧力を弱めた可能性がある。
SCMは韓国と米国の主な軍事政策を協議・調整する国防分野の最高協議会で、ソウルとワシントンで毎年交互に開催されている。
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