貿易交渉で最も関心を集めた韓国製自動車に対する米国の関税率は、従来の25%から15%に引き下げられる。
引き下げの時期は明記されなかったが、金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官は関連法案が国会に提出されれば、その月の1日にさかのぼって発効するよう協議する計画と説明した。今月中に法案が提出されれば、11月1日にさかのぼり適用されることになる。
戦略産業の半導体については、他国より不利にならないことが明記され、事実上の「最恵国待遇」が約束されたと評価される。
米国は「半導体の貿易規模が韓国以上の国」を比較対象に挙げたが、これについて大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長は「主な競争国である台湾に比べて不利でない環境になった」と説明した。
医薬品に対する関税も15%を超えない範囲で調整され、ジェネリック医薬品(後発薬)や米国で生産されない天然資源などに対する15%の相互関税をなくす方針もファクトシートに盛り込まれた。
韓国が約束した対米投資については、まず造船業分野で1500億ドル(約23兆円)を投資し、両国が了解覚書(MOU)を締結して2000億ドルの現金投資を実施するという既存の内容が改めて確認された。
2000億ドルの現金投資については、為替相場の不安定化を防ぐため年間200億ドルを上限とし、韓国が時期の調整を要請することができるなど「安全装置」も盛り込まれた。
安保分野においては、先月の韓米首脳会談で取り上げた韓国の原子力潜水艦建造問題が含まれた。
ファクトシートには「米国は韓国が原子力潜水艦を建造することを承認した。米国はこの造船事業の要件を進展させるため、燃料調達を含め韓国と緊密に協力していく」との文言が盛り込まれた。
これと関連し、魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は「この事案を巡る議論は最初から最後まで韓国で建造することを前提に進められた」として、「原潜を米国で建造する案は取り上げられなかった」と述べた。
韓米原子力協定の改定については、「米国の法を順守する範囲内で韓国の平和的利用のための民間によるウラン濃縮および使用済み核燃料の再処理につながる手続きを支持する」という内容が含まれた。ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理について、韓国の権限を拡大する方向での協定が改定される可能性が高まった。
韓米安保同盟の包括的テーマである「同盟の現代化」については、韓国が国防費を国内総生産(GDP)比で3.5%に引き上げ、米国製軍事装備購入のために2030年までに250億ドルを支出することが確認された。
「在韓米軍の持続的な駐留を通じた韓国防衛公約」の重要性についても双方が認識を一致させた。この過程で両国首脳は、核協議グループ(NCG)を含む協議メカニズムを通じて協力を強化することを約束し、米国は核を含むすべての能力を活用して拡大抑止を提供するという約束を改めて確認したとする内容も文書に盛り込まれた。
韓国が在韓米軍に330億ドル相当の包括的支援を提供することや、有事作戦統制権の韓国への移管に向け、協力を続けるとする両国の方針も盛り込まれた。
北朝鮮の完全な非核化や朝鮮半島の平和と安定に対する両政府の意思も改めて確認され、2018年の米朝首脳による共同声明を履行するための協力も確認された。
さらに「両首脳は対北朝鮮政策と関連して緊密に協力することで合意し、北朝鮮が意味ある対話に復帰し、大量破壊兵器(WMD)や弾道ミサイル計画の放棄を含め、国際的義務を順守することを促した」との内容が盛り込まれた。
在韓米軍の活動範囲を朝鮮半島以外に広げる「戦略的柔軟性」については直接触れなかったものの、「韓米両国は北朝鮮を含め同盟に対するすべての域内の脅威に対する米国の通常抑止体制を強化する」との内容が盛り込まれ、役割拡大の余地が示された。
また両首脳が台湾海峡における平和と安定維持の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促すとする内容も盛り込まれた。
李在明(イ・ジェミョン)大統領はこの日の記者会見で、「韓国経済や安全保障の最大の変数の一つだった協議が最終的に妥結した」と表明。「両国が共にウィンウィンする韓米同盟のルネサンスの扉が大きく開かれた」と評価した。
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