韓国メディアによると、延世大学では、3年生の講義「自然言語処理(NLP)とChatGPT」の中間試験で、一部の学生がChatGPTなどのAIを使って問題を解いていたことが分かった。この科目は約600人が受講しており、人数が多いため、講義、試験共にオンラインで実施。担当教授は、試験中に自分の顔と手をモニターに表示させるよう不正防止措置を講じていたが、一部の学生はカメラの角度を調整するなどの方法で不正発覚を免れようとしていた。担当教授は、不正を行った学生の点数を0点にするとしている。韓国紙の朝鮮日報は「カンニングした学生の正確な人数は公表されていないが、学生らの間では『半分以上がカンニングしていた』との見方が広がっている」と伝えた。
また、国立のソウル大でも同様の不正行為があったことが12日、分かった。通信社の聯合ニュースによると、不正が確認されたのは、先月行われた自然学部の教養科目「統計学実験」の中間試験。同大は試験を無効とし、再試験を実施することを決めた。
コリョ(高麗)大学では、約1400人が受講する教養科目の「高齢社会に対する学際的理解」で、先月25日に非対面方式による中間試験を実施した際、一部の学生がオープンチャットルームを使って不正行為を行っていたことが分かった。
ソウル大、高麗大、延世大学は、韓国を代表する名門大学で、社会的評価が高く、3大学のアルファベット表記の頭文字を取って「SKY」と呼ばれる。
その「SKY」で学生による不正行為が相次いで確認されたことから、韓国社会では波紋が広がっている。韓国紙のハンギョレは13日の社説で「不正行為に加担した学生らにまずは責任を問うべきだが、これまで、AI活用に関する指針が事実上存在しなかったのではないかと、大学側も顧みる必要がある」と指摘した。朝鮮ビズが、昨年の韓国大学教育協議会による調査の結果として伝えたところによると、全国の大学の77.1%が生成型AIに関するガイドラインを整備できていなかった。同メディアは「一部の大学は対応に乗り出しているが、全面的な変化とみるには不十分だ」と指摘した。
聯合ニュースによると、延世大は今回の事態を受け、AI倫理に対する同大のメンバーの意見を集めるフォーラム開催の準備に着手したという。授業と試験の非対面化、AI機能の高度化と活用範囲の拡大といった変化に合わせ、教育と評価方式がどのように変わるべきかについて議論するという。
韓国政府は、低迷する経済成長を下支えするため、AI投資を政策の最優先にする方針を示している。先月、李在明政権は、ChatGPTを開発した米国のOpenAIと連携し、「AI 3大強国」構想を本格的に始動させた。同社は、大学との連携では昨年、「ChatGPTエデュ」を公開した。また、グーグルは、韓国を含む世界の大学生に同社の最先端のAI技術を活用できる「グーグルAIプロ」を1年間無料で提供している。朝鮮ビズは「ビッグテック企業がキャンパス単位でAIへのアクセス性を拡大する中、大学教育のデジタル転換は、事実上、不可避となった」と指摘した。
韓国国会では11日、「K-AIリテラシー未来教育フォーラム」が開かれ、韓国のAIスタートアップ、リートンテクノロジーズのイ・セヨン代表が「AIリテラシー教育のロードマップ」を提示。イ氏は韓国のAI活用現況と教育体系の間の深刻な不均衡を指摘し、全国民を対象としたAIリテラシー教育の必要性を訴えた。
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