現代自動車のヒューマノイドロボット「アトラス」(写真=現代自動車)
現代自動車のヒューマノイドロボット「アトラス」(写真=現代自動車)
世界の自動車メーカーが「人型ロボット(ヒューマノイド)」の開発競争に拍車をかけている。ロボットが人材難と生産性の限界を同時に解決できる未来の成長エンジンとして注目される中で、これまでの製造設備とのシナジー効果まで期待され、産業の地形図の再編が本格化している。

業界によると、ヒョンデ(現代)自動車、テスラ、中国のシャオパン(小鵬汽車/Xpeng)などはヒューマノイドロボットの開発と量産計画を相次いで発表している。一部の企業ではすでに工場にロボットをテスト投入し、商用化の可能性を立証している。

現代自動車はグループ内のロボットメーカー「ボストンダイナミクス」が人間のように歩いたり走りながら複合動作をする高機動ヒューマノイドロボット「アトラス(Atlas)」の商用化を推進している。米国内でロボットを生産するために50億ドル(約7700億円)を追加投資し、今年末にはジョージア州の新工場でアトラスをテスト投入する計画だ。

現代自動車グループのチョン・ウィソン会長は「製造業の未来は人と機械との協力にかかっている。今後グループの売上の20%をロボティクス分野で創出する」と述べ、ロボット事業をグループの成長軸にするとの構想を明らかにした。

テスラは来年、ヒューマノイドロボット「オプティマス(Optimus)」の第3世代モデルを公開し、大量生産体制に入る計画だ。イーロン・マスク最高経営者(CEO)は最近の実績発表で「ヒューマノイドロボットは無限にお金を稼げる事業」として、長期的に1億台の生産を目標として提示している。

シャオパンは今月、独自の人工知能チップを搭載したヒューマノイドロボット「アイアン(Iron)」を公開し、来年末までに大量生産を開始すると明らかにした。BYDは来月、家庭用ヒューマノイドロボット「ボヨボッド(BoYoboD)」を発売し、来年までに生産規模を2万台に拡大する計画を発表した。

BMWは米スパータンバーグ工場にヒューマノイドロボット「フィギュア(Figure) 02」を投入して生産を補助する実験を進めており、メルセデス・ベンツも組立工程の実証プロジェクトを推進している。このほか、トヨタやアウディ、ホンダなどもロボットの開発を急ピッチで進めている。

このように自動車メーカーがロボット開発に力を入れているのは、自動車を生産する過程で蓄積した技術と大規模な部品のサプライチェーンをそのまま活用できるからだ。これまでの生産ラインとサプライチェーンを活用すれば、新規にインフラを構築することなくロボットを大量生産することができ、原価を大きく節減できる。

また、電気自動車と自動運転車の開発により確保した制御・センサーなどの技術はヒューマノイドロボットの構成要素と重なる部分が多い。自動車の製造工程で多く使われているロボットアームの制御原理もヒューマノイドロボットと似ており、技術の拡張性が高い。

また、ヒューマノイドロボットは人間と形が似ており、従来の工場設備を大きく変えなくても現場への投入が可能だ。組み立て・検査・運搬などの反復作業を行い生産性を高め、長期的には人件費の節減とロボット販売を通じた収益の創出も期待されている。

ただし、業界では本格的な商用化までには時間がさらに必要だとする見方が大勢を占めている。関節制御の精度やエネルギー効率など大きな技術的課題が残っており、大量生産のための費用構造もまだ完全には確立されていないためだ。

英国の市場調査業者IDTechExは「ヒューマノイドロボットは2033年頃から本格的に複雑な作業で投入される見通し」として「価格が約2万ドル(約308万円)程度に下がり物流・運搬作業も可能になれば市場が急成長し、2035年には300億ドル(約4兆6000億円)規模に達するだろう」と見通している。
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