米韓首脳会談は、1日に閉幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地、南東部・キョンジュ(慶州)で行われた。会談の焦点の1つになっていたのが関税交渉で、米韓は7月に大筋合意するも、韓国は対米投資をめぐる条件で折り合うことができず、その後の協議が長引き、自動車関税の引き下げは適用されていなかった。韓国経済へのダメージが日に日に大きくなり、トランプ氏の今回の訪韓を反対するデモも起きた。
一方、李氏は先月27日に公開された米ブルームバーグ通信のインタビューに、関税交渉について「(妥結の)遅延が必ずしも失敗を意味するわけではない」と述べ、合意を急がない考えを示唆。今回の会談で妥結する可能性は低いとみられていた。
会談はトランプ氏が求めていた防衛費増額についてや、北朝鮮をめぐる問題などについても取り上げられ、約1時間半に及んだ。双方は関税交渉で韓国側が約束していた3500億ドルの対米投資の詳細について合意した。3500億ドルのうち2000億ドルを現金で投資し、残りの1500億ドルは韓国企業の主導で米韓の造船協力強化プロジェクトに投じることで妥結した。現金で投資する2000億ドルは年間の上限を200億ドルに制限することで合意。29日に記者会見した韓国のキム・ヨンボム大統領室政策室長は、「年間200億ドルの上限内で事業の進捗(しんちょく)程度に従って投資するため、外国為替市場が耐えられる範囲内にあり、市場に与える影響も最小化できる」と説明した。
米韓関税交渉の劇的な合意を受け、韓国の自動車メーカー最大手、現代自動車グループは「難しい交渉過程を経て妥結に至るまで献身的に努力した政府に感謝する」とした上で、「今後も関税の影響を最小限に抑えるため多角的な方策を推進するとともに、品質やブランド競争力の強化、技術革新などで事業の基盤をさらに強化していく」とコメントした。
韓国メディアも合意を一斉に伝え、イーデイリーは、「交渉が合意に至ったことにより、前年比13%前後の減少が予想されていた韓国企業の対米輸出は胸をなでおろすことになった」と指摘。「がけっぷちの局面でも忍耐と知恵により被害を最小化した韓国政府の交渉チームと企業の努力が勝ち取った劇的合意だ」と報じた。また、韓国紙のハンギョレは「7月末の大枠合意後、関心を集めてきた長い駆け引きはヤマ場を越えた」と伝えた。一方、公共放送のKBSは、「自動車業界はひとまず胸をなでおろしたものの、鉄鋼業界には依然として重い負担が残る結果となった」と指摘した。対米輸出の3分の1を占める自動車は、関税が日本やEUに適用されている15%に下がり、競争力での不利な立場からは解消されたが、米国の通商拡大法232条に基づき、50%の高関税が課されている鉄鋼製品は今回の交渉対象に含まれなかった。232条は鉄鋼原材料だけでなく、変圧器や家電など、鉄鋼が関連する約400品目に適用されている。
KBSによると、ある中小企業の関係者は「自動車などの対米輸出の不確実性は解消されたが、鉄鋼・アルミ関連の中小企業の被害を抑えるための補完策が必要だ」と訴えているという。
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