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金正恩氏が拡張指示した衛星発射場 ICBM開発の「聖地」
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)がこのほど視察し、施設拡張を指示した北西部・東倉里の西海衛星発射場は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と長距離ロケット(ミサイル)開発の「聖地」に挙げられる場所だ。北朝鮮が偵察衛星の打ち上げと称してICBMを発射するとすれば、同発射場を使う可能性が高い。 北朝鮮メディアの11日の報道によると、金正恩氏は同発射場の視察で、軍事偵察衛星をはじめとした多目的衛星を多様な運搬ロケットで発射できるよう施設を現代的に改築、拡張し、燃料注入施設を増設することなどを指示した。 過去には、長距離ミサイル技術やICBM中核技術を開発する上で必要な現場実験の大半が同発射場で行われた。ここでの実験を経て「火星15」(射程1万3000キロ以上)と「火星14」(射程1万キロ以上)、「火星12」(射程7000キロ以上)という3種類のICBM級ミサイルを開発したとみられている。ミサイル製造施設のある平壌郊外・山陰洞の研究団地とあわせ、北朝鮮の長距離ミサイル技術の蓄積に大きく寄与した戦略的な場所ということだ。こうしたことから、韓米は東倉里の同発射場を「長距離ミサイル発射場」と呼んでいる。 金正恩氏も過去に同発射場を何度も訪れ、実験に立ち会っている。 北朝鮮は2016年3月、金正恩氏の立ち会いの下でICBM弾頭部を保護する再突入体の性能試験とみられる実験を行ったが、実験には同発射場近くに設置された垂直式のエンジン試験台が使われた。 12年4月に初めて公開された北朝鮮初のICBM「火星13」(KN08)のエンジン燃焼実験も、13年半ばから東倉里で行われた。また、17年3月には液体燃料を使う新型エンジンの燃焼実験が同発射場で実施された。このとき立ち会った金正恩氏は実験結果に満足感を示し、エンジンの開発を担った科学者をおぶって話題を集めた。この実験が契機となり、北朝鮮は17年5月に「火星12」の発射実験を成功させた。 南北首脳会談と米朝首脳会談が相次いで開催され、朝鮮半島の平和ムードが高まった18年には、北朝鮮は同発射場の解体を約束し、実際に解体の動きも捉えられた。 当時のトランプ米大統領と文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領はそれぞれ金正恩氏と首脳会談を行った後、金氏が発射場の施設を除去したり、永久的に廃棄したりする予定だと明らかにした。 同年7月、発射場内にある移動式の建物と垂直式のエンジン試験台を解体する様子が衛星画像などで捉えられたが、その作業はわずか数日後に止まった。合意なく終わった19年の米朝首脳会談以降は発射場の施設が本格的に復旧された。 北朝鮮は今なお同発射場を長距離ミサイルやICBM技術開発の拠点と見なしており、今は施設の拡充を経て衛星実験と称したICBMの発射を準備しているとみられる。