1983年に『優しいサヨクのための喜遊曲』で文壇にデビューし、形式や想像を超えた実験的作品を発表してきた島田さんは、国内でも『ロココ町』『天国が降ってくる』『僕は模造人間』などが翻訳出版され、なじみのある作家だ。
昨年出版された最新作『退廃姉妹』は1945年敗戦後の日本が舞台で、ヒロインは生き残るために売春をする。彼は、「このような設定は今後も十分あり得るし、過去にもみられた人々の生き方。こうした未来と過去の読者すべてに通じる人生という形で、読者にアプローチしたい」と語った。
作家でありながら、『少女』『東京デカダンス』といった映画にも出演した。その理由を尋ねると、島田雅彦は「古代には小説や演劇などは1つのジャンルとして存在していたのではないか」と問いかけた。小説と映画に違いは感じないという。
日本でも最近、文学の危機が取りざたされている。しかし、これまでにも文学は転換点を数度となく経て、そのたびにその変化を反映してきたと、島田雅彦は説明した。現在の危機を乗り越えれば、小説というジャンルが一層成長すると考えている。日本が直面している危機の1つとして「恋愛の危機」を指摘し、これは韓流とも関係があると話した。「最近の日本人男性は恋愛というものを妄想の中で実現しようとして、趣味や好み程度に考えている。昔の男女間の愛はなくなりつつある。過去の郷愁を刺激し健全な恋愛像をみせてくれる韓国ドラマが人気を集めているのは、このためではないか」と分析する。
<文学の新たな地平:記憶・境界・メディア>をテーマに開かれた同日のシンポジウムで、島田雅彦は「文学は個々人が生きていくための知恵の蓄積であると同時に人類の愚かさに対する研究であることから、実学といえる」と定義した。日本からは作家の桐野夏生も参加し、小説の力を強調した。
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