<W解説>日本政府による対韓輸出管理は緩和されるか?(画像提供:wowkorea)
<W解説>日本政府による対韓輸出管理は緩和されるか?(画像提供:wowkorea)
産経新聞は1月28日、「日本政府は、韓国を輸出管理で優遇する『ホワイト国(優遇対象国)』に再指定し、対韓輸出管理を緩和する方向で検討していることが分かった」と報じた。日本政府がここに来て措置の緩和を検討するに至った理由について同紙は「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権が関係改善を模索していることを踏まえた」と解説した。

2019年7月、当時の安倍晋三政権は韓国向け半導体素材3品目の輸出管理厳格化を発動し、同年8月、貿易上の優遇措置を適用する「グループA」から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。日韓最大の懸案である元徴用工問題をめぐり、ムン・ジェイン(文在寅)政権が具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置だった。

韓国はこの措置を受け、日本が輸出規制を適用した半導体素材の国産化を進めた。その後、韓国メディアから「日本の依存度が低下した」との報道も出たが、一時は減少した日本からの関連輸入額が増加に転じるなど、国産化の動きは足踏み状態となっているとの指摘もある。

日本政府が対韓輸出管理強化に踏み切った2019年8月当時、共同通信が行った日本全国電話世論調査では、政府の対応を「評価する」との回答は68.1%に上り、「評価しない」の20.1%を大きく上回った。当時、日本国内では大量破壊兵器に転用可能な戦略物資に対する韓国の輸出管理に疑問の声が上がっており、対韓輸出管理強化は妥当だと考える日本国民が多かった。一方、当時の調査では今後の日韓関係についても尋ねており、「懸念している」との回答は62.4%に上り、「懸念していない」の32.4%を上回った。

懸念通り、韓国では対韓輸出管理強化に抗議する目的で始まった日本製品の不買運動が次第に激化し、反日感情が高まった。不買運動は「ノージャパン運動」という名の下、「買わない、売らない、行かない」を合言葉に韓国全土で展開された。不買運動の影響で、コンビニなどでは日本メーカーのビールなどが一時、陳列棚から消えたほか、日本ブランドの店などは客足が遠のいた。大手アパレルグループ「ファーストリテイリング」傘下のファストブランド「GU」や、化粧品大手、仏ロレアル傘下の「シュウウエムラ」、化粧品通販大手「DHC」など、韓国市場から撤退に追い込まれたところもある。

しかし、一連の不買運動は「選択的不買運動」とも揶揄された。2020年、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の人気ソフト「あつまれ どうぶつの森」が韓国で大ヒット。発売日前日から大勢の人が販売店に並ぶ様子が見られた。代替となる韓国製品が存在しなければ日本製であっても飛びつく状況に、ネット上では「不買運動をしていても、『あつ森』は買うんだなあ」と一貫性がない消費行動を指摘する声も上がった。

また、不買運動を受けて日本からの投資や進出する企業が減ったことは韓国の雇用にも悪影響を与えることとなり、不買運動がブーメランのように韓国に跳ね返ってくる状況にもなった。

その後、コロナ禍を機に、なし崩し的に不買運動は下火になり、打撃を受けた日本の各製品の売り上げは回復に向かった。また、昨年10月、日本政府が海外からの個人旅行の受け入れ再開やビザの免除など、新型コロナウイルスの水際対策を大幅に緩和したところ、直後の統計で国・地域別の訪日客数が最も多かったのは韓国だった。

昨年5月に誕生したユン・ソギョル(尹錫悦)政権は日韓関係の改善に着手し、元徴用工問題をめぐっては先月、韓国政府が解決案を公表した。元徴用工訴訟の原告側は政府案に強く反発しており、未だ問題解決には至っていないが、日韓当局間の意思疎通が活発に行われている。

日本政府は尹政権が日韓関係改善を模索していることも踏まえ、対韓輸出管理の緩和を検討することとした。産経新聞の報道によると、日本政府は元徴用工訴訟問題をめぐる韓国の解決策も見極めたうえで、「ホワイト国」再指定の可否を慎重に判断する。

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