北朝鮮が昨年11月に発射した新型ICBM「火星17」=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
北朝鮮が昨年11月に発射した新型ICBM「火星17」=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】国際社会からの制裁や経済難にもかかわらず、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験など莫大(ばくだい)な費用がかかる武力挑発を続ける北朝鮮の外貨準備高を推定した専門家の研究結果が、23日公表された。

チャン・ヒョンス の最新ニュースまとめ

 韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)によると、張亨寿(チャン・ヒョンス)漢陽大教授(経済学)はKDIの北朝鮮経済レビュー最新号に寄稿したコラムで、2022年末時点の北朝鮮の外貨準備高について「20年末と比べて横ばいか、小幅増加したとみられる」との見方を示した。

 張氏は以前の研究で、20年末の北朝鮮の外貨準備高を最低17億ドル(約2200億円)から最大50億ドル、中間値は約34億ドルと推定している。

 コラムによると、11年末から16年末までの北朝鮮の外貨準備高推定値は最小値ベースで40億~48億ドル台を維持していたが、17年末(38億ドル)、18年末(29億ドル)、19年末(17億ドル)と年を追うごとに減少した。

 これは、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁が17年以降大幅に強化された影響が大きい。

 張氏は、北朝鮮が17~19年の3年間に計上した70億ドルを超える貿易赤字を埋めるためにこれまで自制してきた違法な手段を総動員したにもかかわらず、この期間の北朝鮮の外貨不足は30億ドルに上ったと指摘。それでも20年末の時点で相当額の外貨を保有している理由として、北朝鮮が17年以前からかなりの規模の外貨を蓄えていたのに加え、新型コロナウイルスによる国境封鎖で対中貿易赤字が大幅に減少したことを挙げた。

 張氏は、北朝鮮の違法な外貨収入源についての国連安保理の専門家パネル報告書などに基づき、北朝鮮の21年の外貨需給は少なくとも2億~3億ドル以上の黒字を記録したと推定した。

 また、北朝鮮によるサイバー犯罪は増加したが昨年、暗号資産(仮想通貨)が下落した点を踏まえると22年末の外貨準備高は21年とほぼ同じか、やや減少した水準であり、20年末と比べると横ばいか小幅増加した可能性があると予想した。

 韓国情報機関の国家情報院によると、北朝鮮が17年以降に世界中から窃取した暗号資産の規模は1兆5000億ウォン(約1570億円)と推計され、このうち昨年1年間だけで8000億ウォンを盗み取ったと推定された。 

 張氏は、今年の北朝鮮の外貨需給については不確実性が大きく、予測しづらいとしながら、「3年間抑制されてきた輸入需要を北朝鮮がどれだけ満たすか、伝統的な外貨収入源と違法行為による外貨収入がどの程度になるかにかかっている」と分析した。


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