<W解説>「空飛ぶクルマ」の主導権を握るのは現代自動車グループ?2025年の実用化へ事業推進を加速(画像提供:wowkorea)
<W解説>「空飛ぶクルマ」の主導権を握るのは現代自動車グループ?2025年の実用化へ事業推進を加速(画像提供:wowkorea)
韓国の自動車メーカー最大手、現代自動車グループが18日(現地時間)、英航空機エンジンメーカーのロールスロイスと業務協約(MOU)を交わした。現代は都心航空モビリティ(UAM)市場で主導権を握ろうと「空飛ぶクルマ」の研究・開発を続けている。こうした動きについて韓国紙・東亜日報は「現代自動車グループが、自社が強みを持つ水素燃料電池技術とモビリティ開発経験を基に、世界のUAM市場で注目を浴びる存在に成長しているとの評価が出ている」と伝えた。

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 現代自はUAM分野に注力しており、2019年に米航空宇宙局(NASA)に長年勤務していたジェイウォン・シン氏を「空飛ぶタクシー部門」の責任者として迎え入れた。UAMの2028年までの実用化を目標に掲げ、2020年には米ライドシェア大手のウーバーと手を組み、米デラウェア州にUAMの研究開発を行う新会社「ジェネシス・エア・モビリティ」を設立した。昨年には英アーバン・エアポートと共同で電動の垂直離着陸(eVTOL)機の離着陸場を世界65か所に設ける計画を発表した。

 そして今月18日、現代自は世界3大航空エンジンメーカーに挙げられるロールスロイスとMOUを交わした。現代自は世界1位の水素燃料電池自動車メーカーとして知られ、水素燃料電池が採用されたUAMの製造にも主導権を握るものと期待されている。水素燃料電池は電気バッテリーに比べ相対的に軽く、UAMに搭載した場合、飛行時間を伸ばすことに貢献できる。今回、現代自と共同研究を進めることになったロールスロイスも「炭素排出ゼロ、少ない騒音、電気バッテリーに比べて長い飛行距離が水素燃料電池システムの利点だ」と水素燃料電池の有用性を高く評価している。

 現代自グループは18日に英国で開かれた国際エアショーに参加。同グループの米国UAM法人スーパーナルがブースを設け、eVTOLのコンセプトモデルを展示した。今回公開したモデルは、現代自グループのデザイナーが共同開発した。従来のような航空機デザインではなく、自動車の内装デザインの要素を取り入れ、洗練されたデザインに仕上げた。5人乗りのシートを採用するも、遮断壁を最小限に抑えることで機内空間を十分に設けた。ス-パーナルは、今回のエアショーの参加を通じて世界的な企業との接点を増やし、エコシステムを造成したい考えだ。スーパーナルのシン・ジェウォンCEO(最高経営責任者)は「スーパーナルは現代自動車グループだけでなく、部品、建設、ロボット関連など、50社以上の系列会社・協力会社と協力している」と強みを強調し、「先端航空モビリティのエコシステム造成の先頭に立つ」と意気込みを語った。

 「空飛ぶクルマ」をめぐっては、韓国の通信大手SKテレコムも積極的に開発を推進しており、昨年末にはCEO直属のUAM事業推進タスクフォース(TF)を立ち上げた。また、今年2月には、韓国での「エアタクシーサービス」の導入を目指し、米ジョビー・アビエーションと戦略的提携を結んだことを発表した。ジョビー・アビエーションと、SKテレコムのモビリティサービス部門であるティーマップモビリティ、ティーマップモビリティと米ウーバーが2021年11月に設立したベンチャー企業UTの3社で、「エアタクシーサービス」の導入に向けた事業を進めている。ジョビー・アビエーションはエアモビリティを開発するスタートアップ企業。NASAとの共同研究などを経てeVTOLのテスト機体を製造し、飛行試験も行っている。昨年8月にはニューヨーク証券取引所に上場した。

 SKテレコムは今月15日に開幕した「2022プサン(釜山)国際モーターショー」に韓国のUAMの商用化推進事業者の中で唯一参加した。会場ではUAMを使って2030年にプサンの空を飛行する仮想体験の場を提供し、来場者の注目を集めた。

 空飛ぶクルマによるエアタクシーの「実現元年」は2025年との予測が出ている。韓国政府が打ち出している「K-UAMロードマップ」では、エアタクシーの展開を同年までに目指すと明記しており、同年に開催予定の大阪・関西万博でもエアタクシーの実用化が目指されている。あと約2年5か月、実用化に向けた熾烈(しれつ)な開発競争が続くことになりそうだ。

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