仮想通貨のハッキング被害者、取引所相手に初勝訴=韓国(画像提供:wowkorea)
仮想通貨のハッキング被害者、取引所相手に初勝訴=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国で、ハッキングにより仮想通貨(暗号資産)の被害を受けた投資家らが、取引所を相手取って起こした損害賠償訴訟で勝訴した。裁判所は取引所にハッキングに対する直接的な責任はないが、ハッキング事件が起きてから、投資家が仮想通貨の返還を要求したことに応じなかった責任があると判断した。

 法曹界によると、ソウル中央地裁民事合議17部(キム・ソンウォン部長判事)は、被害者Aさんら11人が仮想通貨取引所「コインレール」の運営会社である株式会社リナーズを相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、リナーズ側の賠償責任を認め、原告一部勝訴の判決を言い渡した。

 裁判部は「被告は原告に3億8300万ウォン(約3700万)を支給せよ」と明らかにした。これはハッキング被害で投資家らが提起した多数の損害賠償訴訟のうち、初勝訴事例だ。

 2018年6月、コインレールでPundi X、Astonなど400億ウォン(約38億5000万円)規模の仮想通貨がハッキングによって流出する事件が発生した。

 ハッキング直後に取引所を閉鎖し、サービス点検に入ったコインレールは、補償計画を発表したが、現在まで補償が行われていないという。

 財産上の損失を被った被害者Aさんらは、裁判所に訴訟を起こした。彼らは「コインレールが利用者の同意を受けずに、仮想通貨を利用者の電子財布から会社側の電子財布に移した」と主張した。

 また、ハッキング直後、コインレールがサービスを中断し、仮想通貨を市場で売ることができなかった。その後もコインレールが同種・同量の仮想通貨を返還しなかったため、義務に反したと主張した。

 裁判部はコインレールが仮想通貨の保管に関しては、義務を違反してはいないと判断した。ハッキング事件と関連し、コインレールの故意・過失もなかったと判断した。

 ただ「ハッキングを理由に取引所の取引を中断・閉鎖し、仮想通貨の返還に応じなかった」とし、取引所側の賠償責任を認めた。

 裁判部は「被告会社は利用約款に基づき、原告が電子的方法で仮想通貨の返還を要求する場合、被告はその場で原告らのアカウントに預けられている仮想通貨を返還する義務を負う」と付け加えた。

 さらに、追加被害を防ぐため、取引所を中止しただけで、返還に応じなかったわけではないというコインレール側の抗弁も受け入れなかった。
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