ドナルド・トランプ米政権当時、対北交渉を率いていたスティーブン・ビーガン前米国務省副長官は、韓国の新聞社“ヘラルド経済”とのオンラインインタビューで「米朝対話を再開するためには “トップダウン”ではなく、段階的に実務交渉と首脳合意を混合・並行する “ハイブリッド方式”を検討する必要がある」と語った。

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ビーガン前副長官は今月8日のインタビューで「その理論(トップダウン)は間違っていたということを(経験により)確認した」と語った。

以下は、要約したインタビューの内容である。

-米朝対話の再開のために、さらなるインセンティブが必要だと思うか-

ビーガン前副長官「現在、対話が行われずにいるのは、米政府や韓国政府がしていることが効果がないためだと言えるかもしれない。むしろ北朝鮮内部で複雑なことや事件が発生していることが、これ(対話)を難しくしている。ただ北朝鮮は公開的な招請に対し、好意的に反応しない傾向がある。“無条件的な対話”を、条件として認識する傾向もある。そのためジョー・バイデン政府は、トランプ政府で中断した交渉を再開することを明らかにすることで、対北関与をする意思があるという点を明確に示したものと推算する」

-2019年、米朝間の最後の交渉であるストックホルム交渉はなぜ失敗したのか-

ビーガン前副長官「ハノイで確認された米国と北朝鮮の意見の違いを狭めるための話し合いが、ストックホルムで行なわれた。当時米国は、米朝シンガポール首脳会談で合意した5つの議題に対する最終状態に同意することのできる方法への一連のオプションを提示していた。我々は同時に、目標を達成することのできる方法に対するロードマップを提示し、制裁緩和も北朝鮮が非核化に対する具体的な措置に対する代価として用意していた。しかし、この交渉が中断されたことで本当に我々が逃した機会が何だったのか、歴史が後に判断してくれることだろう。問題は、ピョンヤン(平壌)以外の人物たちはいかなる権限や柔軟性も持っていないということだ。我々と会うために熟練された外交官たちが派遣されたが、相対的に無力であり先に進んで行ったり調整する交渉の権限はなかった」

-それでムン・ジェイン(文在寅)政権は、米朝首脳会談を通じた “トップダウン方式”が北核問題を解決するのに効果があると言っていた-

ビーガン前副長官「トランプ政権もそのような提案を受け2018年~2019年、一種のテストを行なった。米朝シンガポール首脳会談もそうであったし、ハノイ会談もそうで、全てそのようなアプローチを試みたのであった。その時ごとにトランプ大統領とキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記は建設的な討論と大胆な合意をし、両首脳が合意した方向にしたがって行動するという期待感を抱き、会談場を後にした。しかしキム総書記をはじめとした北朝鮮の人々は平壌に戻ると、約束した立場から退いたり変わった姿をみせた。理由はわからない。キム総書記が平壌に戻り、幹部たちやエリート集団による圧力を受けたのかもしれない。トマス・シェファー前平壌駐在ドイツ大使もそのような分析をしていたが、答えはわからない。私は “ハイブリッド方式”によるアプローチをするべきだと考える。首脳レベルの参加は、双方の立場が実務段階において細部まで間隔を狭めた状態で行なわれるべきだ。我々はこの理論(トップダウン方式)が間違っているということを確認した」

-2019年のハノイ米朝会談はなぜ失敗したのか-

ビーガン前副長官「ハノイの首脳会談から3~4か月前に北朝鮮の人達と会ったが、非核化を除いたロードマップに対する準備はできていたが、北朝鮮側は非核化部分に関して交渉するための権限を持っていなかった。北朝鮮に何か計算があってそうしたのかわからないが、戦略におけるかなりの失敗であった。当時北朝鮮が提案した案は段階別の合意ではなく、最終状態としての非核化措置であったが、北朝鮮を事実上の核保有国として認めてほしいという案であった。これは、米大統領であれば誰であっても受け入れることのできない案であった。さらに当時驚いたのは、ハノイの首脳会談決裂後、米国への批判がソウルからすぐさまあがったという事実であった。『トランプ大統領にとっては、米朝成果が必須であったという立場から、不十分な合意をしようとした状態だった』という深刻な誤解があった」

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