(画像提供:wowkorea)
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韓国の次期大統領選で、保守系の最大野党「国民の力」陣営の候補、チェ・ジェヒョン(崔在亨)氏が光復節(独立記念日)の15日、「キム・デジュン(金大中)・小渕宣言の精神に戻る時、真の克日の道が開かれる」と述べた。

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「キム・デジュン、小渕宣言」とは1998年に韓国のキム・デジュン大統領と日本の小渕恵三首相(いずれも当時)が署名した「日韓共同宣言」を指す。

韓国紙イーデイリーによるとチェ氏は光復節のこの日、ソウルにあるソデムン(西大門)独立公園を訪れた際、記者団に対し「光復(日本統治からの解放)76年が過ぎ、日韓関係はいまだ過去が足かせとなり、未来に向かっていけないのが非常に残念な現実」とし、「いつまでも過去にとらわれてはいられない」と述べた上で、「歴史に対する謝罪と未来志向の関係発展のため努力することにしたキム・デジュン、小渕宣言の精神に戻る時、真の克日の道が開かれる」と述べた。

日韓共同宣言は、1998年10月、韓国のキム大統領が日本を訪問した際に署名された。両国における緊密な友好協力関係を高い次元で発展させ、21世紀に向けた未来志向的な関係を構築することで当時は認識を共有した。

同宣言はその後の日韓交流の礎となり、経済や文化、人的交流は活性化した。しかし、その後、韓国のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権、日本の小泉純一郎政権から歴史問題や領土問題などの対立要因が前面に出て、両国の関係は悪化。「失われた20年」とも言われる時をたどることとなった。

チェ氏はムン・ジェイン(文在寅)政権で2018年から監査院長を務めていたが、原発をめぐってムン政権の問題点を追及し、大統領府や革新系の執権与党「共に民主党」と対立。今年6月に監査院長を辞任し、先月中旬、保守系の野党「国民の力」に入党した。さらに今月4日には次期大統領選への出馬を宣言した。

チェ氏は出馬宣言の際、対日関係が悪化している現状について「外交を政治的目的で利用した両国の態度に起因する点があるのではないか。外交は外交で解決すべき」と指摘した。

チェ氏は15日、前述のように日韓首脳が日韓共同宣言に署名した精神に立ち返る必要性を強調したが、SNSにも「この宣言は日韓関係を発展方向に導くことができるほぼすべての原則が盛り込まれている」とし、「大統領選に当選したら、就任後すぐに日本政府との対話を始め、迅速に両国間の懸案を解決する」と投稿した。

この日韓共同宣言をめぐっては昨年11月、パク・チウォン(朴智元)国家情報院長が菅義偉首相と会談した際、日韓共同宣言に続く新たな宣言を日韓両首脳が発表することを提案した。しかし、日本側はこれに消極的で、その後もぎくしゃくした関係が続く中で、実現には程遠い状況となっている。

光復節に「日韓共同宣言」を持ちあげたチェ氏だが、発言の中で「キム・デジュン、小渕宣言の精神に戻る時、真の克日の道が開かれる」と「克日」の表現を用いたことが気にかかる。宣言をベースにした関係改善を「克日」を成し遂げるための手段と考えているのだとしたら、自身が大統領選の出馬宣言の際に現政権を批判した、「外交を政治目的で利用すること」に他ならないのではなかろうか。

しかし、韓国語で「親日」との表現を使う瞬間、「売国奴」や「非国民」と同じ意味に受け止められている韓国の現実を勘案すると、チェ氏の「克日」という表現は理解できなくもない。

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