韓国と北朝鮮の通信回線が27日、13か月ぶりに復旧した。これまでベトナム・ハノイ会談での交渉決裂や新型コロナなどで、外国との連絡手段を全面遮断してきた北朝鮮が、韓国との通信回線を復旧することで、対話の再開に応じる意志を見せたわけだ。これを機に、米国との非核化交渉の再開にも関心が集まっている。

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 27日、北朝鮮関連の専門家らは、「対話の窓口が復旧したことは肯定的だ」としながらも、米国との交渉の可能性については慎重な態度を示した。

 世宗研究所・北朝鮮研究センターのチョン・ソンジャンセンター長は「米朝間の相互不信があまりにも強いだけに、すぐに対話の扉が開くのは難しいだろう」と診断した。北朝鮮は対話の条件として「先に対北敵視政策」の撤回を要求している。一方米国は、北朝鮮に対して条件のない対話を提案しながらも、先がけて対北制裁の緩和はないという点を明確にしている。

 米朝いずれも譲歩がない状況で、北朝鮮が非核化交渉の舞台に復帰することは難しいという話だ。ただ、バイデン米政権が対北朝鮮の政策と関連して同盟との協力を重要視しているだけに、北朝鮮は韓国を連絡の窓口に利用し、米国との交渉に乗り出す可能性がある。

 チョン氏は「北朝鮮はドナルド・トランプ米政権時代、韓国政府が米国政府に振り回されたと批判した」とし、「5月に行われた米韓首脳会談の共同声明を見て、米国の対北政策に対する韓国の影響力を再評価したはず」と話した。

 これに先立ち、米韓両国は22日(韓国時間)の首脳会談共同声明で、「われわれは2018年板門店宣言とシンガポール共同声明など、これまでの南北間、米北間の約束にもとづいた“外交と対話”が、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的平和の定着を実現するのに欠かせないという共同の信頼を再確認した」と明らかにしている。 シンガポール共同声明だけでなく、板門店宣言もバイデン米政権が継承することを明らかにし、予想よりも前向きな内容と評価された。

 南北首脳間の親書交換が4月から数回行われていたという点を考えると、バイデン米政権が対北政策を検討する過程で、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)労働党総書記の’親交’が考慮されたものとみられる。韓国外交部(日本の外務省に相当)の当局者は「米韓間では北朝鮮の核問題に関連し、緊密な連絡が行われている」とし、「南北通信回線の復旧も例外ではない」と述べた。

 通信回線の復旧が直ちに南北、米朝関係の劇的な変化を保証するわけではないという指摘も出た。北朝鮮が通信回線の復旧に応じたのは、非核化交渉に対する積極的な意志というよりも、危機管理という側面が強いという分析だ。

 ある外交関係者は「韓国は政権交代期で、今後対北政策により保守的な政権が誕生しても、対外緊張度が高くならないように状況管理に乗り出した」と話した。

 アサン政策研究院のチャ・ドゥヒョン首席委員も「通信回線の復旧、それ自体が対話の再開ではない」とし、「重要なカギは対北制裁の早期緩和または解除だが、そのカギを握っている米朝間で合意がなされない以上、南北だけで朝鮮半島の状況を根本的に改善するには限界がある」と指摘した。むしろこれをきっかけに米韓間の対北共助体制が揺れた場合、米韓間の新たな葛藤要素になりかねないという懸念の声も出ている。
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