(画像提供:wowkorea)
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韓国紙・ハンギョレ新聞は16日、来年3月に行われる大統領選挙に関連する世論調査で、世論調査会社によって異なる結果が出ていることについて報じた。

記事によると、韓国の世論調査会社各社は、大統領選への立候補を表明している革新左派系の執権与党所属のイ・ジェミョン(李在明)キョンギド(京畿道)知事、保守右派系のユン・ソギョル(尹錫悦)前検察総長、革新左派系の執権与党所属のイ・ナギョン(李洛淵)元首相の3人の有力候補者の中から二者を挙げ、どちらを支持するか問う、「仮想の二者対決」による調査を実施した。

エムブレインパブリック、Kスタットリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチの世論調査会社4社が、今月5~7日に1005人を対象に合同で行った調査で、「イ知事vsユン前検事総長の2者対決」では革新系のイ知事が43%、保守系のユン前検察総長が33%との結果となり、2人の差は10ポイント開いた。

一方で、PNRリサーチが今月3日に1001人を対象に同様の調査を行ったところ、保守系のユン前総長が49.8%で革新系のイ知事(41.8%)を上回り、真逆の結果となった。

また、ムン・ジェイン(文在寅)大統領の支持率をめぐっても、特異な結果が出ている。朝鮮日報によると、ムン大統領の支持率は新型コロナウイルスの感染が国内で拡大する度に上昇する傾向が見られるという。

韓国では7月に入ってから新型コロナの感染が再び拡大しており、感染の第4波が到来したと受け止められている。政府の責任を問う声と共に、ムン大統領への支持率も低下するかと思いきや、世論調査会社各社の最新の調査結果は、一様に前回調査よりも支持率がアップした。

ムン大統領の支持率はコロナ流行の第1波、2波、3波の際にも回復したという。

記事によると、調査業界の関係者は「コロナの危機の中、革新系の執権与党の支持層が政府に力を与えるために結集しているのではないか」と分析する一方、一部からは「容易には理解できない現象」、「マジックに近い」との声が上がっているという。

また、世論調査の専門家は「調査会社が標本選定や面接員管理などを、調査の度に一貫性がある形で行っているかしっかりチェックすべきだ」と指摘している。

韓国の世論調査をめぐっては、調査に回答する率「応答率」の低さが指摘されている。調査は主に電話で行われるが、回答せず電話を切る人が平均80%以上のため、応答率は20%以下になる。

公表される調査結果の中には、応答率が極端に低いものもある。応答率が低いということは、通常、調査が行われる日中の時間帯に余裕があるなど、特定の条件に当てはまる人の意見ばかりが反映されることを意味し、結果の信頼性を下げることにつながる。

また以前、韓国では、世論調査の信頼性を揺るがしかねない行為が明らかになったことがある。ある有名世論調査会社が2017年に、一つの抽出枠を複数の世論調査に再利用したり、回答内容を回答者の意図とは異なる形で分析したりしていたなどとして、中央選挙世論調査審議委員会から過料を科せられた。

大統領選が近づくにつれ、今後、国民の関心はさらに高まっていくものとみられるが、世論調査会社や、その結果を伝えるメディアは、国民に有益となる情報を提供することが求められる。

半島の「大統領中心制」では大統領の交代で5年間の国の方向性がガラッと変わる。しかも、大陸政治の特徴であった「旧政権の滅族」が今の時代に見られる。歴代韓国大統領の退任後の不幸は王朝が代わった時代と同じ現象だ。

長い軍事独裁政権の時代、韓国人は大統領の直接選挙権を得るため、1987年までに大きな犠牲を払ったことは確かだ。民主化以降の今の韓国人が日本の政治や投票制度に対してマウントを取りたがる根拠にもなっている。

しかし、直接選挙が衆愚政治に転落しないためには市民の「煽動されない力」が必要だ。そのためには科学に基づいた徹底的な世論調査の方法が不可欠である。政治権力が世論調査の会社をコントロールするような仕組みではあり得ないことだ。

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