最大規模の強制徴用損害賠償訴訟、1審で原告敗訴「認めると国際法違反」=韓国報道(画像提供:wowkorea)
最大規模の強制徴用損害賠償訴訟、1審で原告敗訴「認めると国際法違反」=韓国報道(画像提供:wowkorea)

 日本植民地時代の強制徴用被害者たちが日本の戦犯企業16社を相手取って起こした最大規模の損害賠償請求訴訟で敗訴した。これは2018年に韓国最高裁判所の全員合議体が他の強制徴用被害者たちが日本企業を相手取って起こした訴訟で被害者側が勝訴した結果と正反対の判決だ。法曹界では「最高裁の判決に反旗を翻したもの」だと解釈している。

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 ソウル中央地裁の民事合意34部(キム・ヤンホ裁判長)は7日、ソン某氏ら徴用被害者と遺族85人が日本製鉄、日産化学、三菱重工業、住石ホールディングスなどの日本企業16社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の判決期日を開き、原告請求をすべて却下すると発表した。強制徴用被害者たちは日本企業によって精神的・肉体的苦痛を被ったとして、2015年5月に損害賠償訴訟を起こしていた。無対応を一貫していた日本企業は今年3月に判決期日が決定すると、遅ればせながら対応に乗り出した。

 裁判部は1965年の日韓請求権協定で徴用強制被害者の個人請求権が事実上消滅したと判断した。

 裁判部は判決理由について「大韓民国の国民が日本または日本国民に対して持つ個人請求権は、(日韓)請求権協定によって直ちに消滅したり放棄されたとは言えないが、訴訟でこれを行使することは制限される」と述べた。

 続けて「請求権協定の条項で規定している“完全かつ最終的に解決”や“いかなる主張もすることはできない”という文言の意味は『個人請求権の完全な消滅までではなくとも、大韓民国の国民が日本や日本国民を相手に訴訟によって権利を行使することは制限される』という意味として解釈するのが妥当だ」と説明した。

 裁判部は「この訴訟において判決請求を認めることは、ウィーン条約第27条など国際法に違反する結果を招く可能性があると指摘した。ウィーン条約第27条によって、植民支配の不法性を認める国内法的な事情だけで植民支配の適法または不法に関して、相互合意に至らないまま請求権協定の不履行を正当化することはできない」と説明した。

 また、最後に「大韓民国と日本の間でこれまで締結されてきた請求権協定などの各種条約と合意などは少なくとも国際法上の“黙認”に該当し、それに反する発言や行為は矛盾行為を禁止する国際法上の禁反言の原則に反する可能性が高い」と述べた。

 2018年10月30日、韓国最高裁の全員合議体(主審=キム・ソヨン最高裁裁判官)は強制徴用被害者の故ヨ・ウンテクさんら4人が日本の新日鐵住金を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の再上告審で「新日鐵住金はヨさんらに1億ウォン(約980万円)の賠償を命じる」という判決を言い渡した原審を確定している。韓国の裁判所が日本企業に植民地時代の被害を賠償するよう判決を下したのは同判決が初めてだ。当時、最高裁全員合議体の最高裁裁判官13人のうち11人が日本企業の賠償責任を認め、残りの2人が「日本企業に損害賠償を請求できない」という少数意見を出した。

 法曹界では今回の判決について、2018年の最高裁全員合議体の少数意見を根拠にソウル中央地裁が最高裁の判決を覆したわけだが、控訴審でも判決を維持できるかは疑問だと見ている。セソル法律事務所のチョン・ボムジン弁護士は「控訴審では1審で行われなかった国家記録院の調査記録などの事実関係の確認を通して攻防があると予想され、判決が覆される可能性もある」と話した。

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