(画像提供:wowkorea)
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韓国と北朝鮮、南北の軍事境界線がある板門店で南北首脳会談が開催されたのは、ちょうど3年前の2018年4月27日のことだった。

キム・ジョンウン の最新ニュースまとめ

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記が、北朝鮮の最高指導者として初めて軍事境界線を越えたあの日は、南北にとって歴史的な日となった。韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と正恩氏が軍事境界線上で握手を交わす場面の映像は、韓国のみならず、日本をはじめ世界に流れた。

この首脳会談で、両首脳が朝鮮戦争の終戦宣言の早期実現などを盛り込んだ「板門店宣言」に署名してから3年。南北融和が進むだろうとの期待とは裏腹に、この間、南北はたびたび緊張した。

とりわけ2019年2月の2回目の米朝首脳会談が決裂して以降、南北関係は急速に悪化した。昨年6月には、北朝鮮が南北間の通信連絡線を一方的に遮断。この頃から、正恩氏の実妹で数少ない「白頭血統」であるヨジョン(与正)氏が目立つようになる。

韓国在住の脱北者(北朝鮮からの亡命者)団体は文政権の牽制にも北朝鮮向けに風船を飛ばし、ビラの散布を続けた。北朝鮮の体制を「金王朝」として非難する内容だ。

与正氏は「裏切り者たちとゴミどもに、犯した罪の大きさを気づかせなければならない。偉大なる尊厳を傷つけた重大さを間もなく知ることになるだろう」などとする談話を発表した。

3日後、韓国資本で南北軍事境界線沿いの北朝鮮ケソン(開城)に建てられた南北共同連絡事務所は爆破され粉々となった。衝撃的な「女王の登場」の瞬間だった。

韓国を敵視するようになった与正氏の言動は止まらず、文大統領を「煮込んだ牛の頭」と揶揄する場面もあった。先月の米韓軍事演習の際にも演習を非難した上で、文大統領を「無駄口をたたくのに長けている」「生まれつきのばかだ」などの言葉を用いて批判。2018年の南北首脳会談について挙げ「3年前の春には再び戻らないだろう」とした。

韓国側としては、事態の打開のため、対話のきっかけをつかもうとしているが、北朝鮮が応じる様子はなく、文政権が対話のチャンスと期待していた東京五輪も北朝鮮側が今月6日に「不参加」を発表。あてが外れた形となり、南北対話の糸口をつかめずにいる。

しかし、韓国政府は一縷(いちる)の望みに賭けている。文大統領は21日、北朝鮮の東京五輪の不参加表明に言及し、「あきらめるのは早い」と語った。外交部のチョン・ウィヨン(鄭義溶)長官も「(北朝鮮は)ピョンチャン(平昌)五輪の際も終盤になって参加を表明した」と述べ、北朝鮮が意思を覆すことに期待を示した。

南北和解を掲げ、2017年の就任以来、「平和と共存のための努力を妨げてはならない」と訴えてきた文大統領。任期が残り約1年となる中、対北政策に何としても目に見える成果を残したい思惑が透けて見える。

南北首脳会談の際、正恩氏は「我々はきょう、平和、繁栄、南北関係の新たな歴史が刻まれるスタートラインに立っている」と述べている。3年の月日が過ぎ、与正氏から「3年前の春には再び戻らないだろう」という言葉が飛び出すほど南北関係が悪化することになろうとは当時、誰が想像しただろうか。
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