(画像提供:wowkorea)
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日韓関係を断絶危機に追い込んでいる旧日本軍従軍慰安婦問題。元慰安婦イ・ヨンス(李容洙)氏が本日、ソウルで記者会見を開き「国際司法裁判所(ICJ)で慰安婦問題に対する判断を受けよう」と発言した。「元慰安婦問題ICJ回付推進委員会」の代表でもある李氏は「わが政府(韓国)が全面に立って、国際法により”日本の罪”を明らかにしてほしい」とも発言した。

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 李氏は「(日韓)両国が、責任をもって国際裁判所で完全な解決をし、両国間は互いに憎み合わず 親しくなるべきではないか?」や「いつまで このようにいがみ合っているのか」とし、「判決を受けて完全な解決をし、仲良くしなければならない」と語った。

 早速、韓国外交部(外務省に相当)は李氏の提案に対し、「(韓国)政府は元慰安婦たちの名誉と尊厳を回復するために、わが政府ができる全ての努力をしてきた」とし、「ICJ提訴問題は慎重に検討する」という立場を明らかにした。

 慰安婦問題を巡ってはことし1月、元慰安婦12人が日本政府を相手に起こした損害賠償請求訴訟でソウル中央地裁での第1審判決が行われた。日本の裁判所ならば”管轄ではない”で終わるはずだったが、韓国の裁判所では原告勝訴の判決になり、日本政府に対して元慰安婦たちにそれぞれ1億ウォンずつ支給せよと命令した。

 金銭だけの問題ならば、2015年12月に「和解治癒財団」のために日本側から韓国に渡った資金で元慰安婦の全員に支払、解決できる金額だった。いや、金銭だけの問題ならば、30年前の1990年代に解決できたはずだ。

 日本政府は、このような判決が国際法上の「主権免除」原則を否定したもので、今までの条約に違反したものとして反発した。結局、徴用工問題のターゲットである日本の民間企業とは違って、慰安婦問題のターゲットである日本政府は控訴を諦め、1審の判決がそのまま確定した。

 一方、この判決に関しては日本からも韓国を「国際法違反」として、ICJに提訴するよう求める声が出ていた。ICJは国連(UN)傘下の国際司法機関であり、日本と韓国を含め、国連の加盟国ならばICJの判決に従う義務がある。

 ただ、韓国は「竹島(韓国名:独島)問題」でICJに提訴される可能性もあり、ICJに提訴された裁判に応じるように義務付ける「強制管轄権」を受託していない状況である。日本がICJに提訴したとしても韓国が応じないならば、ICJでの裁判が成立しなくなる訳だ。

 それでは本日以降、数少なくなった元慰安婦の1人が直接韓国政府に訴えた「ICJ付託」はどのようになるのか?

 他の元慰安婦が李氏同様の意見ならば、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領や外交部が拒否する名分はない。いくら慰安婦問題を政治に利用してきた勢力だとしても、いままで主張してきた”被害者中心主義”は拒否することは出来ない。

 ICJで慰安婦問題の裁判が行われた場合、「主権免除」「2015年12月の不可逆的な慰安婦問題日韓合意」「1965年の日韓国交正常化条約」などを考えると、その判決は日本に有利になる可能性が高いと思われる。

 しかし、”女性人権”を重んじる昨今の国際社会の雰囲気では、韓国に不利ではないとの見解も韓国内で広まっている。東京オリンピックの組織委員会会長であり、元総理大臣の森喜朗氏が女性人権を蔑にしたとされる発言で国際社会でどのように扱われているかを見ると、その雰囲気は良く分かるはずだ。

 前回の<W解説>でも説明したとおり、日本が勝訴したにも関わらず、「日本は女性の人権を重んじる国ではない」との印象を国際社会に与え、「裁判には勝訴したが、国際社会の評判としては負けたことと同じ」の状態になる可能性もある。

 本日、李氏の“ICJ発言”の背景には、慰安婦問題に対する日本の責任追及のために韓国国内の訴訟だけでは限界があるという判断があったはずだ。米国ハーバード大学ラムザイヤー教授の学問的な接近も気になっていただろう。

 また、夫が北朝鮮のスパイ嫌疑で服役(文政権で再審、国家保安法違反)していた「正義連」のユン・ミヒャン(尹美香)氏が慰安婦運動の経歴で”人生の大逆転”を果たし、昨年4月、韓国執権与党の国会議員になったことで李氏の尹議員に対する憎しみが影響しているかもしれない。

 「I CAN SPEAK」という題名の韓国映画がある。李氏をモデルにして作られた映画で、その内容が実話なのかや政治プロパガンダという批判は別問題として、映画としては上手く作られたものだ。自ら英語を学び、国際社会に日本を訴える元慰安婦が描かれている。注目すべきは予想外の行動が得意な主人公である。

 日韓関係、または日米韓の三角同盟をめちゃくちゃにしてきた慰安婦問題。この映画の流れのように、当事者の予想外の行動によりこの30年間の問題が解決に向かうだろうか。

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