(画像提供:wowkorea)
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日本では安倍政権が退陣表明をした後、菅政権が生まれる過程の中で政権与党である自由民主党の中で総裁選挙が実施された。菅、石破、岸田の三氏が総裁の座を巡って争ったのだ。

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 その際、野田聖子氏らを中心に女性候補が出馬出来なかった。就中、総裁選挙の出馬条件「20名以上の自民党所属国会議員の推薦」を集められなかった。この事について、アレコレと論争があった事は記憶に新しい筈だ。

 尤も自民党総裁選挙の度に、毎回の事ゆえ、新鮮味も無いのだが、議院内閣制の日本では与党内の過半数以上、もしくは国会(衆議院)の過半数以上の支持を得られなければ、女性であれ、男性であれ、総理大臣にはなれない以上、自身の派閥形成に失敗しているだけなのだ。

 しかし、女性国会議員比率が193か国中165位で10.2%とG20諸国で最下位だった事もあり、日本社会の女性差別の問題として取り上げられがちだ。2019年の調査、二院制の場合は下院、日本では衆議院が対象の調査である。

 一方、韓国政界への女性進出は如何なのか。

 まず、昨今の検察改革等を巡る検察総長との対立で、日本でもお馴染みの「タマネギ女」チュ・ミエ(秋美愛)氏がいる。その対立の結果、ムン・ジェイン(文在寅)大統領に任命されたが大統領の側近の疑惑を捜査する検察総長は「次期大統領候補1位」になってしまった。

 「正義連」「挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)」の代表・活動家としてお馴染みのユン・ミヒャン(尹美香)氏もいる。元慰安婦として被害者だと主張するイ・ヨンス(李容洙)氏との対立から、また不透明な会計処理や補助金・寄付金の横領疑惑等で、比例代表の国会議員に当選したとは言え、やや社会的に立場が苦しくなっている。

 女性として初めて韓国政治権力の最高峰「大統領」にまで上り詰めたパク・クネ(朴槿恵)氏もいる。元大統領の娘、両親が暗殺された悲劇のヒロイン。長年保守系政党の幹部・指導者、特に選挙の顔として活躍したものの、弾劾され、辞任に追い込まれ、現在は投獄された状態である。

 美人過ぎる政治家、ナ・ギョンウォン(羅卿瑗)氏もいる。“韓国の東大”ソウル大学の法学部を卒業し、判事を辞めて政治家になった人物だ。ソウル市長選挙や4月の総選挙での落選の所為でやや存在感が低下したものの、保守系野党「国民の力」の前身のセヌリ党・自由韓国党・未来統合党等の幹部として辣腕を振るっていた。

 このように、韓国は女性政治家が目立って活躍しているイメージがあるのではないか。そうはいっても同じ女性国会議員比率の順位で2019年には121位で17.1%、今年の総選挙後には129位で17.3%である。日本よりマシとは言え、女性の人口比率に比べて低い事には変わらない。

 ところが韓国が日本と大きく異なるのは、制度的に女性の政界進出を促進する為の支援策・促進策がある事だ。例えば選挙の際、比例代表の名簿の順番だが、必ず奇数番目には女性候補を立てる義務が政党には課されている。

 どんなに小規模な政党でも一議席獲得出来ればその分、女性議員が増える筈だという見通しから導入された。その義務に反した場合は政党補助金の削減(義務に従って名簿を作成した場合には政党助成金の増額)となる。こうして政党が女性候補の発掘と擁立に動くようなインセンティブを設けている。

 確かにクオーター制(強制的な人数もしくは比率の割当制)を求める女性問題やフェミニズムの活動家は日韓両国に存在する。しかし、性別で候補者を決定・固定する逆差別だという批判や、技能の面で適任の女性候補の発掘と擁立に手間がかかるという実務面での困難さをかわす点で、それなりに効果的な制度であるのは認めざるを得ない。

 そして、そのお陰で徐々にではあるが、女性国会議員比率の向上という結果を挙げており、今後は如何小選挙区での女性候補者擁立につなげていくかが課題となっている。

 しかし、この点においては韓国も日本同様、男性候補者への選好、政治は男性の仕事だという性別と職業に関する固定観念等が根強い。歴史的に儒教の「男尊女卑」の影響もあり「男性中心」の思想は日本より遥かに強い。

 他の政治課題では革命的な制度・法律の一変に着手する韓国の政界であっても、男性の現職議員らの多くは自身らの特権や地位等を脅かしかねない改革には二の足を踏んでいよう。

 その点では泥棒に泥棒を取り締まる法律を作らせるのと同様なようだ。しかし日本とは違い、小さな一歩とは言え、女性国会議員比率の向上という結果を挙げている。

 政党補助金を用いた奇数番目の候補者に女性を擁立させる比例代表名簿作りの義務化を成し遂げた点においては、韓国政治も称賛されて良いのではないだろうか。

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