(画像提供:wowkorea)
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韓国は「自由」民主主義国家なのか?

 数年前から韓国では日本の「外交青書」や首相演説等において、韓国を如何に評価し表現しているのかにつき、神経を使うようになった。特に「価値観を共有」如何の表現が欠落して来た事については日本に対して非難の言葉を浴びせて来た。

 そもそも論だが、「自由」民主主義とは自国の国家体制を否定、破壊・転覆するような思想言論活動であっても、容認する特徴を持つ。少なくとも殺人や破壊活動、またその為の武器や危険物の準備と言った成文化・明文化された刑法の対象でない限り、最大限認められ、尊重されるものなのだ。

 先日、日本警察の家宅捜索に対して検温を実施し一列に入場許可する組織の映像が韓国で笑い話になった。日本では暴力組織は勿論、未だに過激派なる集団が堂々と看板を掲げて事務所を運営している。つまり、拠点・革命基地だかを保有し、活動を続けられるのだ。

 韓国、あるいは一部の欧州大陸の国々では、憲法によって規定された国家体制を守る事を優先とする。体制を否定、破壊・転覆するような思想言論活動を認めない。所謂「戦う」民主主義、もしくは非/反「自由」民主主義を国家の基本原則とする。

 例えば、ドイツ等ではナチスや反ユダヤ主義に関しては、その思想言論活動に対して容赦なく社会的抹殺のみならず刑事罰の対象とする。勿論、欧州大陸諸国では自由主義も尊重されるべきだと言う政治文化もあり、非/反の対象や「戦う」対象が厳格に限定されている所為なのか、共産主義には寛容だったりもする。

 こう考えると、韓国の場合は非/反の対象や「戦う」対象があまりにも広範な「戦う」民主主義国家、もしくは非/反「自由」民主主義国家になっているかもしれない。

 日本の統治から独立した韓国のイ・スンマン(李承晩)初代大統領。かつて大韓民国の国是を「反日反共」と明確に定義した。しかし、同時に優先すべきは「反共」だとしていた。

 北朝鮮との対立の過程で韓国は「国家保安法」と言った「反共」諸法を制定した。日本の「破壊活動防止法」どころではない、かつての「治安維持法」をモデルとした法律だ。しかし、韓国の軍事政権が終わってから、そして南北の民族主義がイデオロギーを超えてからは、「死文化」されそうになった。

 しかし、2014年、パク・クネ(朴槿恵)政権においても韓国の憲法裁判所は憲法によって規定された国家体制・理念を守るとし、イ・ソクギ(李石基)ら統合進歩党幹部・所属議員を懲役刑にした。北朝鮮が韓国を攻撃する場合、それに同調した通信・石油施設の破壊を“謀議”したとのこと。

 政権が保守から革新に変わった今でも、彼はまだ収監中であり、党は解散・財産没収とされた状態である。なお具体的に武器や危険物を準備した「未遂」の段階とは言えず、「謀議」しただけでだ。

 こうして見ると、韓国の法的には「戦う」対象が共産主義・社会主義に限定されている。しかし、昨今の慰安婦研究者パク・ユハ(朴裕河)教授への刑事裁判、戦時下の朝鮮人労働者への慰謝料・賠償金を日本製鉄に命じた裁判等の推移を見ると、「戦う」対象が日本へも拡大しつつあり、将来的には米国にまで拡大するのでは、と予測せざるを得ない。

 新型コロナウイルスの防疫でもこのような傾向が見られ、「K防疫」の旗のもと、反政権デモや宗教の自由は制限されて当たり前の韓国社会になっている。前述の日本警察に対する検温と一列入場が韓国では笑い物のほかならない。

 憲法によって規定された国家体制にとって、有害であると法的に、あるいは社会的・民主的に見なされた対象に容赦の無い刑罰を科す韓国は、「自由」民主主義国家から遠くなりつつある。日本と「価値観」を共有しているとは言い難い部分が増えているのだ。

 「価値観の共有」ができない場合でも、戦略的利益(共通の敵)はあり得る。東西の冷戦時代、北朝鮮の核武装時代、中国の海洋進出時代を経験しながら相互依存を深めてきた韓国と日本。しかし、今の危機や対立を「管理」することは中々難しそうだ。

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