昨年1月11日、ソウル市内で記者会見を行うキンタナ氏=(聯合ニュース)
昨年1月11日、ソウル市内で記者会見を行うキンタナ氏=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の人権問題を担当する国連のキンタナ特別報告者は北朝鮮軍が韓国人男性を海上で射殺した事件の責任の所在を究明し、遺族に補償するよう勧告する報告書を23日の国連総会で報告する。ソウルにある国連人権事務所が15日、報告書を公開した。

 キンタナ氏は同事件について、「(北朝鮮軍の)警備関係者の生命の脅威にならない民間人を違法かつ恣意的に射殺した事件で、国際人権法違反」と指摘。「事件に関するすべての情報を公開して関係者の責任を問わなければならず、家族に補償し、二度とこうしたことが起こらないようにすべきだ」として、「無断で侵入した人をどう扱うかに関する国家政策の検討も含まれる」と明らかにした。

 韓国に対しては、「事件に関するすべての情報を提供し、北朝鮮に国際的な義務の順守を促さなければならない」と求めた。

 また、新型コロナウイルスの発生前から劣悪だった北朝鮮の食糧、医療、人権状況が感染症を防ぐための国境制限と人道団体の活動縮小で悪化したと指摘した。国連の事務総長に対し、対北朝鮮制裁が北朝鮮内の人権状況に与える影響に関する調査を行うことを、米国には人権状況に否定的な影響を与える制裁の解除を促した。

 その上で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を踏まえ、対北朝鮮制裁体制を見直さなければならない国際社会の責務は急務だと強調し、北朝鮮にも閉鎖的な防疫政策ではなく、新型コロナウイルスの対応を巡り国際社会と協力するよう勧告した。

 一方、韓国の統一部が北朝鮮人権団体や脱北者の定着支援団体などの非営利法人を対象に事業運営などを調べる「事務検査」を行っていることについて、検査を中止し、団体運営の透明性を改善しながらも活動の場を保障できる受け入れ可能な措置を団体側と協議するよう勧告した。

 また、北朝鮮と国際社会は拉致被害者の送還、朝鮮戦争などで生き別れになった離散家族の再会、脱北者の人権向上などに取り組む必要があると指摘した。


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