15日の光復節式典で演説する文大統領(写真共同取材団)=(聯合ニュース)
15日の光復節式典で演説する文大統領(写真共同取材団)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日に行った光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)式典での演説で、韓日関係の立て直し、朝鮮半島の非核化や平和体制定着、経済発展など国の主要課題に対する青写真を提示した。青瓦台(大統領府)によると、文大統領はこの先、これらビジョンの実現へ「国力を結集させる」という。 だが、文大統領の構想を現実のものにするには解決すべき難題が少なくない。韓日関係の不確実性が解消されない上、北朝鮮は光復節の翌日に再び飛翔(ひしょう)体を発射するなど韓国への圧力を継続している。国会でも、閣僚候補者らの人事聴聞会を前に与野党の攻防が本格化する兆しを見せている。◇対話するなら「喜んで手を取る」 日本の出方は? 文大統領は15日の演説で、輸出規制などを巡り冷え込む対日関係に関し、「今からでも日本が対話と協力の道に乗り出すなら、われわれは喜んで手を取る」と述べた。互いに強硬な対応を取り続けるよりも外交を通じた問題解決を図る姿勢を示した形で、日本との水面下での接触などに向けた韓国政府の外交努力が活発化するとの見方も出ている。 与党関係者は「不当な経済報復に断固とした対応を続けるという文大統領の考えに変わりはないようだ」としながらも、韓日関係が破局に向かえば双方に被害が及ぶことを考慮し、演説では「日本に手を差し出した」と説明。現段階では、日本がこれにどう応えるかが鍵になると見通した。 今月21日ごろには中国で韓日中外相会談が開かれる予定とされ、これを機に韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官と日本の河野太郎外相が個別に会談するかどうかに関心が集まっている。 文政権が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長するかどうかも、韓日関係の行方に影響を与えそうだ。韓日のGSOMIAの有効期間は1年で、今月24日までに両国どちらかが破棄を通告しない限り、自動的に延長される。与党の間では、文大統領が演説で韓日対話の重要性を強調したことから、ひとまず延長を選ぶとの見方が出ている。◇韓国への圧力継続する北朝鮮 米朝交渉の後押しに尽力 文大統領は光復節演説で「新たな朝鮮半島を目指して三つの目標を提示する」と述べ、その一つとして平和経済の構築に言及した。北朝鮮との経済協力により、韓国経済の新たな成長エンジンを手に入れると同時に北朝鮮を非核化交渉の場に引き出すというのが文大統領の構想だ。 だが、北朝鮮は近ごろ短距離ミサイル発射するなどして韓国に圧力をかけており、青瓦台も頭を悩ませている。 北朝鮮は文大統領の演説翌日の16日朝、東部の江原道から朝鮮半島東の東海上に向けて再び飛翔体2発を発射した。また、北朝鮮の対韓国窓口機関・祖国平和統一委員会は同日午前に報道官談話を出し、文大統領の演説を批判しながら「韓国当局者と二度と向き合わない」と表明した。 北朝鮮がこうした韓国への批判を続けることで、文大統領の平和経済構想に対する野党の批判も強まり、実現の可能性に疑問を呈する世論が広がる恐れもある。 青瓦台はただ、北朝鮮は韓米合同軍事演習に反発して韓国への圧力を継続しているものの、米朝間の対話の枠組みを壊す意図はないと判断している。米朝間の非核化交渉を正常な軌道に乗せることが最重要だとの大原則に立ち、対話の勢いを後押しすることに集中する方針だ。与党の間では、北朝鮮の相次ぐ挑発には韓米軍事演習の終了後に本格化する米朝対話に備えて交渉力を引き上げる狙いがあるとの分析も出ている。◇閣僚候補の人事聴聞会で攻防必至 政権運営に影響も 韓国国内では、今月9日の内閣改造で指名した閣僚候補ら7人に対する国会の人事聴聞会をどう切り抜けるかが文大統領の今後の政権掌握力を左右するとみられている。 特に、最大野党の自由韓国党などは文大統領の最側近で法務部長官に起用されたチョ国(チョ・グク)氏に集中的に攻勢をかける構えで、任命までは与野党の激しい攻防が避けられない見通しだ。聴聞会で候補者の資質を巡る論争が強まったり、一部の候補者が指名を辞退したりすれば、文大統領の政権運営に打撃となりかねない。
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