12日、南北民間交流行事に参加する韓国の代表団を乗せて金剛山に向かうバスの列=(聯合ニュース)
12日、南北民間交流行事に参加する韓国の代表団を乗せて金剛山に向かうバスの列=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮南東部の金剛山で12~13日に開かれた南北民間交流行事に同行した韓国の報道陣10人が韓米の協議不足でノートパソコンやカメラなどの取材機器を北朝鮮に持ち込めなかった問題は、南北協力と対北朝鮮制裁の衝突を韓国政府がうまく調整できなかったことが原因とみられている。  これに関し、統一部の白泰鉉(ペク・テヒョン)報道官は13日の定例会見で、「(米国との協議に)時間がかかる部分があり、今回の行事で持ち込みが難しくなった」とし、「時間不足」を重ねて理由に挙げた。 だが、ノートパソコンなどの取材機器が適用対象となり得る米独自制裁の場合、北朝鮮への持ち込みを可能にする例外規定もあるという。政府が時間的余裕を持って米国と協議し、例外規定の適用手続きを踏んでいれば問題は解決できていたかもしれないということだ。 韓国政府は当初、金剛山での行事に同行する報道陣の取材機器については米国の包括的な了解を得られたとみて、機器を特定して制裁適用除外の協議を別に行う必要はないと判断していたとされる。対北朝鮮制裁問題などを調整する韓米作業部会(ワーキンググループ)で金剛山の行事について包括的な協議があり、取材機器は北朝鮮に持って行っても再び持ち帰るものであるため正式な制裁免除まで受けなくても大丈夫だと考えたようだ。 取材機器の問題が表面化し、こうしたムードが変化したのは先週後半ごろとされる。一部では、軍事境界線の通過を承認する米国主導の在韓国連軍司令部側との協議で問題が生じたとの見方も出ている。 こうした試行錯誤が起きた背景には、対北朝鮮制裁がある中で南北協力事業を推進する政府の「ジレンマ」が横たわる。 南北交流の細かい事項までひとつひとつ米国との協議を経て推進するのであれば批判を受ける余地は小さくなるが、これが慣行として定着すれば政府としても動きにくくなる面がある。その半面、取材機器など枝葉の部分は制裁対象ではないとの判断でより自主的に動けば、予想外のことが起きたり、米国との認識差が広がったりするリスクがある。 昨年も、鉄道の北朝鮮側区間に対する南北共同調査や北朝鮮・開城への南北共同連絡事務所の開所といった南北協力事業を巡り、韓米の立場の違いが露呈する事態が繰り返された。 こうしたことを受け、韓国政府も南北協力事業は対北朝鮮制裁対象ではないという立場から、制裁に抵触しかねない物資はできるだけひとつひとつ国連安全保障理事会などから正式な免除を受ける方向にややスタンスを変えたとされる。 だが、南北交流に際して米国とどれだけ具体的な部分まで事前に協議するのかに対する基準や効果的な戦略がないことが問題を大きくしかねないとして、韓国政府により綿密な対応戦略を求める声が出ている。
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