勝訴判決を受けて記者会見する原告と遺族ら。4人の原告のうち3人は判決を待たずに死去した=30日、ソウル(聯合ニュース)
勝訴判決を受けて記者会見する原告と遺族ら。4人の原告のうち3人は判決を待たずに死去した=30日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者4人が新日本製鉄(現新日鉄住金)に損害賠償を求めた訴訟で、韓国の大法院(最高裁)は30日、原告を逆転勝訴させた差し戻し控訴審判決を支持し、新日鉄に原告1人当たり1億ウォン(約1000万円)の支払いを命じた。日本企業の賠償責任を認めたことで、韓日関係への影響が注目される。 判決は1965年の韓日請求権協定と韓日基本条約に基盤を置く政治的妥結を真っ向から覆す趣旨のもので、旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の合意を巡りただでさえぎくしゃくしている韓日関係は、当面、行き詰まりが避けられない見通しだ。 大法院は、日本による朝鮮半島の植民地支配は違法だとする憲法的判断に基づき、請求権協定により被害者の賠償請求権は消滅していないとの判決を下した。 判決により日本企業が被害者に賠償せねばならない状況になったが、日本政府は強制徴用被害者の個人請求権問題は韓日請求権協定で解決済みとの立場を取っているため、判決に従わない可能性が高い。むしろ強制執行などの措置が取られれば正式な紛争解決手続きに入るとみられ、日本企業は政府の方針に従い賠償に応じない見込みだ。 日本側は外交的解決が必要と判断すれば、韓国に外交協議を申し入れた上で、第三国の委員を交えた仲裁委員会での話し合いや、国家間の紛争を扱う国際司法裁判所(ICJ)への提訴に踏み切る可能性がある。釜山の日本総領事館前に16年末、旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像が設置された際と同じように、駐韓大使を一時帰国させるなどの対応に出る可能性も取り沙汰される。互いに対応を取るうちに、韓日間の全面的な外交戦に発展する懸念もある。 こうした状況で、最終的には韓国政府がどういった立場と措置を取るかが両国関係の行方を左右する見通しだ。韓国政府はこれまで、強制徴用被害者の個人請求権問題は韓日請求権協定で解決済みとの立場を貫いてきた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時の05年、韓日国交正常化交渉に関する外交文書を公開するにあたり官民合同委員会が検討し、出した結論だ。 だが、こうした立場とは異なる大法院の判決が出たことで、韓国政府は不一致を解消して新たな立場をまとめ、日本を相手にするという難題を抱えることになったと指摘される。判決の趣旨に沿って政府の立場を変更して原則的に対応するのか、あるいは判決は尊重するものの外交レベルでは別の仲裁案を講じるのかが注目される。 康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は26日、国会による国政監査での答弁で、徴用工訴訟について「司法府が法と手続きにのっとり判断を下すよう期待する。その結果に応じ、司法府の判断を尊重しながら政府の立場を整理したい」と述べていた。
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