SNSで「#MeToo」のハッシュタグを付けてセクハラ被害を告発する運動が広がっている(イメージ)=(聯合ニュース)
SNSで「#MeToo」のハッシュタグを付けてセクハラ被害を告発する運動が広がっている(イメージ)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】会員制交流サイト(SNS)などでセクハラや性犯罪の被害を告発する「Me too(私も)」運動が韓国社会でも広がっている。男性中心のゆがんだ性文化、上下関係を利用した性犯罪の長年の病弊が明らかになり、これを正すべきだとする世論が高まりつつある。被害者を支持する「With you」運動も広がる。韓国政府や捜査機関も積極的に対応に乗り出している。 韓国の「Me too」運動のきっかけは1月末、地方の女性検事の徐志賢(ソ・ジヒョン)氏が過去に法務部の幹部だった安兌根(アン・テグン)氏からセクハラを受けたと検察内のインターネット掲示板で明らかにしたことだった。徐氏は海外で起きているMe too運動にも触れ、「私たちは沈黙するのではなく、一歩ずつ踏み出してこそ組織が発展していけると思う」と記した。検察はこの告発の2日後に組織内の性犯罪を調査するチームを発足させ、部下の女性に対する強制わいせつ罪で地方の部長検事を起訴するなどした。 法曹界で始まった「Me too」運動は、社会全般に広がった。中でも、文化・芸術界では権力や地位を利用した著名人の性暴力に関する告発がせきを切ったようにあふれ出した。ある劇団の女性代表は今月14日、演劇界の大物演出家、李潤沢(イ・ユンテク)氏からセクハラを受けたことをフェイスブックで暴露し、演劇界に衝撃が走った。 20日には、元大学教授で俳優のチョ・ミンギ氏からセクハラを受けたとする教え子の告発があった。チョ氏は所属事務所を通じて疑惑を否定したが、学生へのわいせつ行為で大学から3カ月の停職処分を受けていたことが明らかになった。教え子たちの「Me too」が相次ぎ、チョ氏は27日に強制わいせつ容疑で警察に立件された。これまでに約10人の被害が確認されている。 これに先立ち、女性詩人の崔泳美(チェ・ヨンミ)氏が大物詩人による後輩への常習的なセクハラを詩で暴露し、ノーベル文学賞候補としてたびたび取り沙汰される詩人の高銀(コ・ウン)氏が加害者に挙げられた。高氏の詩を中学・高校の教科書から削除することまで議論されている。 人々が関心を寄せる芸能界でも「Me too」運動が起きている。23日には俳優チョ・ジェヒョン氏ら有名芸能人のセクハラが告発され、26日には俳優チェ・イルファ氏が過去のセクハラ行為を自ら告白し、ドラマをはじめとする全ての活動を休止すると表明した。 大学でも上下関係を利用した教授らによる教え子への性犯罪が相次いで暴露されており、カトリック神父が女性の信者に性的暴行を加えようとしたことが発覚するなど告発は宗教界にも広がる様相を見せている。 加害者に挙げられた著名人に対する捜査も行われている。李哲聖(イ・チョルソン)警察庁長は26日「名を知られた社会各界19人の性暴力容疑を調べている」とし、3件の容疑について正式に捜査を開始し、1件については令状請求を検討していると明らかにした。 被害者たちの動きは単に性犯罪を告発するだけにとどまらず、これを機に社会にはびこるゆがんだ性文化、権力を利用した性犯罪を根絶すべきとの要求に拡大しつつあり、政府も積極的に対処に乗り出している。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は26日、「被害者の勇気に敬意を表し、『Me too』運動を積極的に支持する」と述べ、政府として対応を取るよう指示した。政府は公共部門での性暴力に関するオンライン申告窓口を設け、教育部は全大学を対象に性暴力申告窓口の運営実態を調査する。 「Me too」運動はこれまで目立った動きのなかった方面にも広がる見通しだ。官僚主義と序列主義がはびこる公務員社会や軍隊、警察は言うに及ばず、政界や財界、さらには先輩・後輩の上下関係が厳しい医療業界やマスコミ、スポーツ界でも被害の告発が予想される。 検察や警察は、性犯罪について親告罪の規定が削除された2013年6月以降の事件については、被害者の告訴がなくても疑いがあれば積極的に捜査する方針だ。 ただ、「Me too」運動に乗じて被害者でない人が虚偽の告発をする事態を懸念する声も一部で出ている。
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