【ソウル聯合ニュース】韓国で公務員やメディア従事者、私立学校教員らへの食事接待、贈り物、慶弔費の上限を厳しく定めた「不正請託および金品など授受の禁止に関する法律」が施行されてから28日で丸1年を迎える。 学校では保護者から教師への付け届けがなくなり、飲食店では割り勘が広がるなど同法が定着したが、上限額は今も議論の的となっている。 汚職防止を目的とした同法は、公務員、メディア従事者、私立学校教員などに対する社交や儀礼としての食事接待は3万ウォン(約2900円)まで、贈り物は5万ウォンまで、慶弔費は10万ウォンまでと上限を設けており、韓国ではこれを「3・5・10万ウォン規定」と呼んでいる。 職務に関連のない場合は1回100万ウォン以下、年間300万ウォン以下の範囲内で金品などをやりとりすることができる。親族や知人、友人、恋人との贈り物の受け渡しは同法の適用対象とならない。 同法は、金品を受け取る人が公務員やメディア従事者、私立学校教員らの場合に限り適用されるが、民間企業や一般市民のあいだでも「3・5・10万ウォン規定」に従う雰囲気が広まり、売り上げや収入の減少に悩む外食企業や花き農家、農漁業従事者などは同法の改正を求めている。 現在、国会法案審査小委員会には、上限額を食事接待と贈り物は各10万ウォン、慶弔費は5万ウォンに変更する内容の改正案と、同法が適用される対象品目から農水畜産物と伝統酒を除外する内容の改正案が提出されている。 金瑛録(キム・ヨンロク)農林畜産食品部長官と金栄春(キム・ヨンチュン)海洋水産部長官も「3・5・10万ウォン規定」の改正の必要性を積極的に主張している。 また、李洛淵(イ・ナクヨン)首相は先ごろ、年内に同法の影響について総合的な分析と検討を行い、代案を出す方針を示した。 一方、2011年に同法を発案した政府組織・国民権益委員会は慎重な姿勢を示している。同委員会は、国務総理室傘下の経済・人文社会研究会が外部機関に依頼した同法施行の経済影響分析の結果が出た後に改正の必要性を検討するとの立場だ。 同委員会が最も悩んでいるのは「大多数の国民が改正を望んでいるか」だ。また、施行後わずか1年で同法を改正するには国民が納得できる根拠が必要であり、改正が一度行われれば改正を求める声がさらに増えるのではないかと懸念している。
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