金正恩委員長は安保理の制裁を口実に挑発に出る可能性が高い=(聯合ニュース)
金正恩委員長は安保理の制裁を口実に挑発に出る可能性が高い=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】国連安全保障理事会が11日夜(日本時間12日朝)、北朝鮮の6回目核実験を受け、原油・石油精製品の北朝鮮向け輸出量を約3割減らすことなどを盛り込んだ制裁決議を全会一致で採択したが、朝鮮半島情勢はむしろ一段と緊迫の度を深める可能性が高い。北朝鮮は過去8回の安保理制裁時と同様、今回も制裁を口実に挑発の度合いを高める公算が大きく、そうなると米国も強い姿勢に出ざるを得ず、米朝対立の先鋭化で朝鮮半島情勢の先行きが一層不透明になることも考えられる。 決議には北朝鮮への石油の全面禁輸などが盛り込まれず制裁のレベルが期待に届かなかったため、北朝鮮の核・ミサイル開発にブレーキをかけるには不十分だとの指摘が多い。韓国民間シンクタンク、峨山政策研究院の崔剛(チェ・ガン)副院長は12日、制裁決議は「挑発しても制裁のレベルはこの程度か」と北朝鮮に思わせるものだったとし、「(制裁による)局面転換は難しそうだ」と述べた。 北朝鮮は、制裁決議の採択前から挑発をちらつかせて国際社会をけん制していた。北朝鮮外務省は11日、安保理の制裁議論を主導する米国を非難する声明を発表し、決議が採択されれば「米国をかつてないほど混乱させる」と威嚇。「いかなる最終手段も辞さない準備ができている」と警告した。 北朝鮮が結束を図るためしばしば挑発の契機としてきた朝鮮労働党創建記念日(10月10日)を控えていることもあり、何らかの挑発に踏み切るとの観測は多い。 韓国・北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「北はすでに予告した通りICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射などで対抗し、武力を誇示すると予想される」と述べ、当面は挑発と制裁の悪循環で朝鮮半島を巡る緊張が高まるとの見方を示した。 北朝鮮の挑発としては、ICBM級「火星14」の通常角度での発射や「火星13」の初の発射実験、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3」の初の発射実験、中距離弾道ミサイル「火星12」4発の米領グアム周辺への発射などが取り沙汰されている。 北朝鮮がまたしても挑発に出れば、米国は一段と強い対応を取ると考えられる。韓国国防部の宋永武(ソン・ヨンム)長官とマティス米国防長官は北朝鮮の6回目核実験の直後に電話協議し、朝鮮半島への米戦略兵器の定例的な配備を強化することで一致したが、まだ具体的な措置は取られてない。だが、戦略爆撃機や原子力空母などが遠からず展開される可能性はある。 米朝のこうした鋭い対立は、北朝鮮が「核兵器の完成」を主張し、態度を変えるまで続くとも懸念されている。 韓国情報機関・国家情報院傘下のシンクタンク、国家安保戦略研究院のイ・スヒョン責任研究委員は「(朝鮮労働党委員長の)金正恩(キム・ジョンウン)が来年の新年演説で核兵器の完成に言及し、米国に交渉を呼び掛け、南側(韓国)に対しても平和攻勢に出る可能性がある。それまでは対決の構図が続くだろう」と話している。
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