上海のイーマートの店舗(資料写真)=(聯合ニュース)
上海のイーマートの店舗(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の流通企業が中国で苦戦する中、米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」発射台の在韓米軍基地への追加配備が完了したことにより中国の経済報復がさらに強化されるとみられ、現地の営業環境が一層悪化することが懸念される。◇スーパー最大手は撤退へ 中国での事業に失敗して撤退を決定した韓国スーパー最大手のイーマートの事業整理はさらに急ピッチで進むとみられる。同社の中国事業撤退は累積赤字が主な原因だが、THAAD問題の余波で反韓感情が高まるなど、事業環境がさらに悪化したことも撤退決定の理由の一つに挙げられる。 業界によると、イーマートは中国の5店舗を現地で流通事業を展開するタイのCPグループに売却する交渉を進めているとされる。イーマートの関係者は「中国事業の撤退のためにさまざまなオプションを検討中だ」とし、「売却はまだ確定していないが、今年中には撤退する方針だ」と述べた。 同社を統括する新世界グループの鄭溶鎮(チョン・ヨンジン)副会長は先月、「中国からの撤退手続きを進めており、年末には完全に撤退できると考えている」とし、「ベトナム、カンボジア、ラオスなど東南アジア諸国と(出店に向け)接触している」と述べていた。 イーマートは1997年に中国に進出し、一時は30店舗近くを出店したが、赤字の累積で規模を縮小し、現在は6店舗のみが残っている。昨年は中国で216億ウォン(約20億7000万円)の損失を出し、2013年から昨年までの4年間で1500億ウォンを超える営業赤字を計上した。◇ロッテマートは大部分が営業停止 一方、スーパー大手のロッテマートは中国のほとんどの店舗が営業を停止しており、損害額が雪だるま式に増えている。 イーマートと違ってロッテマートは現地の店舗数が多く、おいそれと撤退できない状況だ。ロッテは中国事業を維持するとの立場を明らかにしているが、中国の報復措置が本格化してから莫大(ばくだい)な被害を被っている。 ロッテマートは現在、中国内の112店舗のうち87店舗の営業を停止しており、残りの店舗も事実上休業状態だ。3月に3600億ウォンの資金を緊急投入したのに続き、近ごろ3400億ウォンを追加で投入した。売り上げはほとんどないが、賃金などの固定費は継続的に発生している。 このような傾向が続けば、年末までにロッテマートの被害額は1兆ウォンに達するものと推計される。ロッテは現在中国で大型スーパーをはじめ、120の流通子会社の店舗を運営し、毎年1000億ウォン規模の赤字を記録してきた。 中国は自国企業の保護のため規制が厳しく閉鎖的で、海外企業が生き残るのが難しいことで知られており、社会的ネットワークや人脈を重視する文化なども足かせとなる。このような中、グローバル企業が競争する中国市場で韓国の流通企業は根を下ろすことができず苦戦してきたが、「THAAD報復」で状況が急速に悪化した。◇化粧品・製菓も営業利益が大幅減 THAAD問題の影響を受けたのは、他業種も同様だ。 自動車など主力産業をはじめ、食品など消費財企業も危機に直面している。 中国事業の売り上げ比重が大きい化粧品大手のアモーレパシフィックは、4~6月期の営業利益が前年同期比58%急減した。製菓大手のオリオンは中国の製菓市場で2位を占めるほど現地化に成功した企業だが、THAAD問題の影響で今年上半期(1~6月)の営業利益が前年同期比64%減少し、現地の契約職の販促社員数も20%近く減らした。 流通業界の関係者は「人口13億人の中国市場は手放せない重要な市場だが、それだけ競争が激しく、現地化に成功するのは簡単ではない」とし、「このため韓国企業は最近、ベトナムなどに目を向けて市場多角化に乗り出している」と説明した。 別の関係者は「THAADの報復が解け、事業条件が改善されることを期待していたが、今回の追加配備で報復のレベルがさらに上がるのではないかと心配だ」と話した。
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