【ソウル聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の韓日合意に基づき日本政府が拠出した10億円から被害者に支給された現金に関連し、韓国政府は慰安婦被害者が現金を受け取っても個々人の請求権には影響しないとする立場を示した。法曹関係者や政府筋が7日までに、韓国政府がこうした内容を含む書面を裁判所に提出したことを明らかにした。 現金支給については、韓国政府が認定する慰安婦被害者46人のうち、35人が受け取る意向を表明し、一部は支給が終わっている。 慰安婦合意については、昨年8月に慰安婦被害者の韓国人女性12人が合意により精神的・物質的損害を受けたなどとして、韓国政府に1人当たり1億ウォン(984万円)の賠償を求めて提訴。ソウル中央地裁は同12月、政府側に対し、合意が法的にどのような意味があるのか具体的に説明するよう求めた。 外交部当局者は「裁判所の要請により、慰安婦合意をわが国の国民の大多数が情緒的に受け入れられずにいる現実を認め、韓日両国が共同で努力して問題を賢く克服できるよう努力するという基調の下、書面を作成し、裁判所に提出した」と説明した。   政府は4月にも「慰安婦合意が被害者の個人請求権に影響を及ぼさない」との立場を裁判所に伝えている。今回の書面提出は慰安婦合意により現金を受け取っても、それは賠償金には該当しないという立場を公式化したものとみることができる。 政府は慰安婦合意以降、日本政府が拠出した10億円の性格について曖昧な立場を取ってきた。「日本政府が責任を認めて謝罪し、政府予算から拠出したものであり、賠償的な性格」と説明し、「賠償金」とはしなかった。  今回、政府が現金を受け取った被害者にも個人請求権は残っているとの立場を示したことで、日本政府が拠出した10億円は法的な効力のある賠償金ではなかったことを明確にしたとみることができる。 韓国の憲法裁判所は11年、政府が慰安婦問題を解決するため日本政府に損害賠償の責任を問わないことは被害者の憲法上の基本権を侵害するとして、違憲との判断を下した。 政府は裁判所に示した立場を基に、今後、外交部に設置したタスクフォース(作業部会)を通じ、慰安婦合意の再検討を進めた後、日本に再交渉を要求するのかについて決めるとみられる。
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