【ソウル聯合ニュース】インターネット検索世界最大手、米グーグルが韓国詳細地図データの海外持ち出し許可を求めていた問題で、韓国政府はこのほど関係官庁による会議を開いて検討したが、結論を出せずさらに審議を重ねることにした。11月下旬までに持ち出しを認めるかどうかを決定するという。 グーグルは、詳細地図データを韓国版グーグルマップ(地図サービス)に反映すれば韓国のユーザーやIT(情報技術)業界にプラスになると訴え、データの持ち出しを求めている。 データを提供しなければ韓国企業が先端技術革新で後れを取るとの主張がある一方、詳細地図の海外持ち出しは青瓦台(大統領府)や軍事施設など安全保障上の重要施設に危険を及ぼしかねないとして反対する声もある。特に、最近は弾道ミサイル発射など北朝鮮が挑発を強めていることから、地図の持ち出しに慎重になるべきだとの声は高まっている。 韓国政府は、グーグルが外国でサービスする衛星写真で韓国の重要施設に「保安処理」を施せば持ち出しを許可できるとしたが、グーグルは他国で行うサービスを韓国が「検閲」する根拠はないと反発している。 もし、グーグルが地図データを保存するサーバーを海外ではなく韓国に置けば、重要施設のデータに対する統制が可能になる。通信大手のSKテレコムやインターネットサービス大手のNAVER(ネイバー)など韓国で詳細地図サービスを提供する企業は、軍事施設など重要施設のデータを地図から削除し、サーバーとサービスの運用に対して毎年評価を受けている。 グーグルは、世界の地図データを米国や台湾など8カ国・地域に設置するサーバーで管理しており、効率性などの面から韓国にサーバーを置くことはできないとしているが、法人税を納めたくないというのが本音では、と疑う向きもある。韓国にサーバーを設置すれば固定の事業所と見なされ、法人税を納めることになるためだ。グーグルは韓国で年間1兆ウォン(約900億円)台の売上高を計上しているが、固定の事業所がないため税金をほとんど納めていない。 韓国は1995年以降、計画に従い、全国に及ぶ縮尺5000分の1(市街地は縮尺1000分の1)の電子精密地図を作成した。これほどの詳細地図を保有しているケースは世界でも多くない。作成には多額の税金がつぎ込まれた。 グーグルは巨大IT企業の影響力を利用し、韓国の現実を無視して自社の事業計画を一方的に押し通そうとしてはならない。重要施設のデータの保安処理はさほど難しいことではない。グーグルには、韓国の安保を損なうことなく地図データを使用する方策を提示してもらいたい。 韓国国内でのグーグルマップサービスが強化されれば、あらゆる機器がインターネットにつながるモノのインターネット(IoT)や自動運転車などIT産業の革新に追い風になるとの見方は正しい。地図データの海外持ち出しを許可しようがしまいが、今回の一件が国内の地理情報の提供活性化と関連産業の発展につながるよう期待したい。
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