昨年12月、慰安婦問題をめぐる韓日合意を発表する尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官(右)と岸田文雄外相=(AP=聯合ニュース)
昨年12月、慰安婦問題をめぐる韓日合意を発表する尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官(右)と岸田文雄外相=(AP=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】日本政府が24日の閣議で、旧日本軍の慰安婦被害者を支援するため韓国が設立した「和解・癒やし財団」への10億円拠出を決定した。 これにより、慰安婦問題をめぐる昨年末の韓日合意に基づき日本側が取るべき履行措置は最終段階に入った。拠出が完了すれば、少なくとも韓日の政府間においては「外交懸案」としての慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的な解決」に向かう。1991年に故金学順(キム・ハクスン)さんが慰安婦被害者として初めて証言に立ち、問題が表面化してから実に四半世紀がたった。 韓日関係筋は、早ければ今月中にも日本政府が10億円を財団に入金すると見込んでおり、資金を得て財団の事業は本格化する見通しだ。 韓国政府はひとまず歓迎の意を示している。政府関係者は聯合ニュースの取材に対し「財団事業を通じ、一日も早く慰安婦被害者の名誉と尊厳が回復され、心の傷が癒やされるよう努めたい」とコメントした。 だが、10億円の拠出を機に、慰安婦の強制動員を否定しようとする日本政府の動きが本格化する懸念もある。 日本の外務省は先ごろ、慰安婦動員の強制性を否定する自国外交官の発言を同省の英語版ホームページにも掲載し、韓国外交部報道官が「合意を損なう言動は慎むべき」などと指摘した。韓国政府は、日本側が責任を認め、謝罪と反省を表明することも、慰安婦問題の最終解決に向けた日本側の責務と認識している。 韓日間では今後、ソウルの日本大使館前に置かれた慰安婦被害者を象徴する少女像の移転をめぐり、あつれきが深まる可能性もある。 韓日合意では、少女像問題については韓国政府が「適切に解決されるよう努力する」となっており、日本側は移転を求め韓国への圧力を強めてくると見込まれる。自民党内では、日本大使館前の少女像の移転を10億円拠出の前提条件とすべきだとの声も少なくなかった。 だが韓国政府は、少女像は民間団体が設置したものであり、韓国政府がああしろ、こうしろと言える問題ではないとのスタンスだ。韓国国内では慰安婦合意に対する反対の声が依然として強く、韓国政府は世論と日本政府の要求の間で難しいかじ取りを迫られそうだ。 韓国外交部傘下・国立外交院のチョ・ヤンヒョン副教授は聯合ニュースの取材に対し、「日本が少女像の移転を要求すればするほど韓国は移転が難しくなるというジレンマを、日本政府もよく知っているはずだ」と指摘。その上で「被害者の間で韓日合意に対するコンセンサスを形成していけば、少女像を別の場所に移すことも不可能ではないだろう」と話した。 また、民間シンクタンク・世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)所長は「移転はすぐには難しいが、被害者追悼施設設置などの事業を推進していく中で自然に議論になるかもしれない」と述べた。
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