ソウル市内のカフェでインタビューに応じる稲川さん=(聯合ニュース)
ソウル市内のカフェでインタビューに応じる稲川さん=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】 ソウルから交流サイト(SNS) やブログで韓国の話題を発信する稲川右樹(ゆうき)さん(37)。 弘益大教養外国語学部で教鞭(きょうべん)を執る語学のスペシャリストだけに、生活の中でよく使われる韓国語の例などもアップしている。韓国語を学ぶ日本人からは、実用的な言葉を学べると好評だ。 稲川さんはよりリアルな韓国語の使い方を知るため、しばしば韓国人を対象にしたアンケートを実施。稲川さんがツイッター上で展開しているプロジェクト「韓国語表現力向上委員会」では、知らずに使ってしまう日本語風の韓国語表現を指摘する。例えば、借りたペンを返す際に日本人は韓国語で「ありがとうございます」と言う。間違ってはいないが、よりリアルな韓国語で言うならば「よく使いました」となる。韓国語学習本などにあまりない内容とあって、評判は上々だ。 助教授をしている弘益大で韓国人学生に日本語や日本の文化を教えるかたわら、国際交流基金で日本の文化と関連した授業も担当している。 韓日を行き来し、日本では研究の一環として「ゆうきの韓国語発音セミナー」を開催している。このセミナーに関しては、「韓国語の学習は毎日毎日、自分が上達していくのが分かる。できることが増えていくのが分かるのでその快感をいろんな人に知ってほしい」と話す。セミナーを通じて日本各地の韓国語学習者が出会い、つながっていくこともやりがいになっている。 セミナーやSNSでは一方的に情報を発信するのではなく、受け手とコミュニケーションを取るようにしている。例えば、手軽にライブ配信を行えるサービスツイットキャスティング(ツイキャス)では、リアルタイムでテーマに応じた視聴者からの質問に答えたり、トークをしたりしている。最初は自分の楽しみのために始めたSNSだが、現在のツイッターのフォロワー数は2万7500人。フォロワーが大きく増えたが、あまり使命感を持ちすぎず、韓国の生活や語学などに関して読者の興味・関心に役立つならという思いから続けているという。「韓国留学を決めた」「勇気をもらった」といったうれしいコメントも届く。◇日韓関係「今ほど良い時期ない」 オーストラリアで語学系の仕事をすることが夢だったが、大学時代に韓国人の現在の妻と出会ったことをきっかけに韓国に興味を持つようになった。当時の日本は韓国語を学べる手段や場所が少なかったため、独学で勉強した。大学卒業後の2001年に語学留学のため渡韓し、その後、韓国最高峰のソウル大で韓国語教育科博士課程を修了した。  ソウルに来て16年になる。韓国と日本の関係については、意外なことに「今ほど良い時期もない」と言う。国と国との関係ではぎくしゃくすることもあるが、街に出てみれば日本のお店があり、これが自然に受け入れられている。文化的な関係では「昔と比べて自然に付き合えているのではないか」「これからもっと気楽な感じになっていく」と思っている。 言葉が文化交流において果たす役割は大きい。「言葉があるから理解できる」と同時に「言葉があるから誤解が生まれる」。この誤解を乗り越えることで、より深い相互理解につながり、言葉が通じた時の喜びが「もっとその人を知りたい」「もっと先を目指したい」という気持ちにつながると思っている。(及川佳奈子)
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