違法操業する中国漁船=(聯合ニュース)
違法操業する中国漁船=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の軍と海洋警察、国連軍司令部が南北軍事境界線に近い黄海上の中立水域で違法操業する中国漁船の排除作戦に乗り出して4日目になるが、北朝鮮は何の反応も見せていない。韓国と国連軍司令部が黄海上の漢江河口の中立水域で合同作戦を行うのは1953年に朝鮮戦争の休戦協定が締結されてから初めて。北朝鮮が複雑な事情を抱えているとの見方が出ている。 韓国軍関係者は13日、「漢江河口水域で中国漁船に対する作戦を行う間、北の軍は特別な動きを見せなかった」と伝えた。 この水域の北側は北朝鮮軍の第4軍団が担当する。沿岸に警戒部隊を配置、後方に火力兵器を備えている。対韓攻撃の主要ルートではないため、戦力はさほど集中していないとされる。 韓国と国連軍司令部が10日に合同作戦を開始してから、漢江河口にいた中国漁船の一部は退去し、10隻前後は北朝鮮側の沿岸に逃げ込んだ。これに対し北朝鮮の当局や軍は特に反応を示さず、北朝鮮メディアも取り上げていない。 そのため、北朝鮮が外貨を稼ごうと中国漁船にこの水域の操業権を売り渡したのでないかとする見方が出ている。ただ、韓国軍の関係者はそうしたことは確認していないとし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が食糧問題の解決に向け水産物の増産に力を注いでいる点を踏まえても操業権を売り渡したと見なすのは難しい面がある。北朝鮮は過去に、乱獲といえるような中国漁船の取り締まりに積極的な姿勢を示したこともあった。 北朝鮮の沈黙の理由を、政治、外交的な計算と解釈する専門家もいる。韓国と国連軍司令部による取り締まりを非難すれば中国漁船の違法操業を認めることになり、操業権の売り渡しを疑われざるを得ない。北朝鮮沿岸に逃げ込んだ中国漁船を取り締まる場合は、韓国と国連軍司令部の活動を実質的に認めたと受け止められかねない。最近中国との関係改善に乗り出した北朝鮮が、こうした水を差すような行動を取るとは考えにくい。 韓国・東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は、北朝鮮が韓国と国連軍司令部の活動をひとまず様子見し、適当なタイミングで韓国が南北間の緊張を高める行為をしていると主張する可能性があると指摘した。
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