【ソウル聯合ニュース】韓国の有権者が13日投開票の国会議員総選挙で、16年間に及ぶ与党主導の政局と8年間の与党セヌリ党独走にストップをかけ、変化を選択した。セヌリ党の惨敗は、コミュニケーションを取ろうとせずわが道を進む国政運営と、公認選びのいざこざに象徴された与党の傲慢さに与党支持者までもが愛想を尽かしたもので、自らが招いた結果だとされる。任期を1年8カ月ほど残す朴槿恵(パク・クネ)大統領の政権運営や求心力にも深刻な打撃を与えそうだ。労働改革や経済活性化など政府の主な国政課題がつまずくことになりかねない。◇朴大統領の対応は セヌリ党は最大野党「共に民主党」に第1党の座を明け渡し、与野党の勢力が逆転した。また、新党「国民の党」の躍進は20年ぶりの第三極の登場であり、政局に変革を巻き起こすと予想される。野党は今後、立法権と予算審議権を最大限活用して与党の政策を阻止するだけでなく、国会聴聞会や国政調査を通じ政権の実態に切り込んでいくとみられる。 何より来年末の大統領選挙に向け、政権奪還を目指し、朴槿恵政権を根本から揺さぶるため総力を挙げる可能性が高い。朴大統領が早々にレームダック(死に体)に陥るとの分析も政界で出始めている。 朴大統領の国会、野党との関係にも変化が生じるとの見方が多い。任期中盤までは力で国会を掌握してきたが、与野党が逆転した状況では野党を説得し、折れざるを得ない場面も出てくるためだ。 与党内でも朴大統領と距離を置く「非朴系」勢力との協力が必要になり、これまでとは異なる対応が求められることになる。内閣改造や青瓦台(大統領府)再編など刷新を通じ突破口を開くとの観測も出ている。 その一方で、朴大統領がこれまでの政治スタイルを変えず、自身の堅固な支持勢力を結集し正面突破を図るとの見方もある。◇国会運営は国民の党が鍵 与野党勢力の逆転と主要3党によるトロイカ体制は、国会運営に相当大きな変化をもたらすことになる。 長年にわたる与党と野党第1党の2大体制が激しい対立と非効率さを生んできただけに、第三極の国民の党の登場は緩衝材、あるいはキャスティングボートとして国会の立法活動に活路を開くとの期待がかかる。セヌリ党と共に民主党が対立する主要法案は、国民の党がどちらにつくかによって行方が決まる公算が大きい。◇与党内、野党同士で主導権争いへ 次期大統領選の前哨戦とされる今回の総選挙の結果を受け、与野党それぞれの内部の動きはさらに複雑化する。 セヌリ党の敗北の打撃は議席という数値にとどまらない。過半数を割り込んだだけでなく、要(かなめ)の首都圏の多くを野党に奪われ、大統領選の見通しにも暗雲が垂れ込める。惨敗の原因をめぐり、公認選びを主導した朴大統領に近い「親朴系」勢力と非朴系勢力が責任を押し付け合い、激しい争いを再開するとみられる。 野党の2大勢力は次期大統領選に向けた統合の局面で、それぞれが求心力を高めるようと主導権争いを繰り広げると予想される。共に民主党は地盤の湖南地域(全羅道)を国民の党に取られたものの、首都圏で圧勝し、セヌリ党の地盤である嶺南地域(慶尚道)でも善戦したことで政権奪還の可能性が高まったと評される。 国民の党は湖南中心の地域政党という印象が強まり、「新たな政治」という目標が薄れかねないため依然として先行き不安を打ち消すことができないのは事実だが、湖南を基盤に共に民主党との勢力争いに勝利すれば希望は膨らむ。◇次期大統領候補は明暗 今回の総選挙で各党の次期大統領候補とされた出馬者は大きく明暗が分かれ、大統領選の候補者レース序盤の輪郭が浮かび上がってきた。 国民の党の安哲秀(アン・チョルス)氏と、地域対立感情の壁を乗り越えた共に民主党の金富謙(キム・ブギョム)氏は、それぞれの党の有力候補に急浮上する。 セヌリ党の公認から外れ無所属で出馬した劉承ミン(ユ・スンミン)氏は難関をくぐり4回目の当選を果たし、与党勢力の候補者として勢いを増しそうだ。セヌリ党代表の金武星(キム・ムソン)氏が公認選びと選挙戦の責任を負うとことになり、前ソウル市長の呉世勲(オ・セフン)氏が今回落選したことも劉氏に弾みをつけることになる。 前回の大統領選で朴大統領に惜敗した共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、党が予想を大きく上回り善戦したにもかかわらず、湖南での結果に自身の政治生命をかけるとした約束に縛られ、難しい立場に追い込まれる。 mgk1202@yna.co.kr
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