会見で重力波の説明をする李教授=12日、ソウル(聯合ニュース)
会見で重力波の説明をする李教授=12日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】国際実験チーム「LIGO(ライゴ)」による重力波の初観測を受け、韓国重力波研究協力団の李ヒョン睦(イ・ヒョンモク)ソウル大教授(物理天文学)は12日、ソウル市内のホテルで会見を開き、「今回の発見は初めての重力波の直接検出であり、最初のブラックホール双星(二つのブラックホールが互いの周辺を公転する天体)観測であり、重力波天文学のスタート」と観測の意義を説明した。 LIGOは11日(米東部時間)、物理学者のアインシュタインが100年前に一般相対性理論で存在を予言した「重力波」の観測に成功したと発表した。重力波の直接観測は世界初で、ノーベル賞級の成果とされる。 韓国の研究者も重力波の観測に寄与した。2009年にソウル大や釜山大など5校と韓国科学技術情報研究院(KISTI)など政府系シンクタンク2機関の研究者約20人で韓国重力波研究協力団をつくり、研究に携わってきた。同協力団の会員のうち14人は今回の研究論文に共同著者として名を連ねた。以下は一問一答。――重力波を観測したのはいつか。「昨年9月14日に初めて発見された。それで名称が「GW(Gravitational Wave)150914」となった。稼動後最初の16日間のデータを分析した結果だ。13億光年離れた場所で発生した重力波を測定したものだが、13億年前は地球にとても原始的な生命体しか存在しなかった時期だ」――韓国の研究者はどのくらい参加したか。「LIGOのプロジェクト全体の人数が1000人程度で、そのうち韓国人14人が論文に含まれた。われわれは参加してからあまり時間がたっておらず、輝かしい業績をたてたとは言えないが、各自が受け持った役割を忠実に行ってきた。大きく見れば重力波のデータ分析や重力波源のモデリングに参加した。KISTIのグローバル大容量データハブ(GSDC)にLIGOの観測データが全て入ってきている」――今後、重力波天文学が発達し、初期の宇宙について研究できるというが、ビッグバンの時に発生した重力波とブラックホールが衝突した際に発生した重力波をどのように区別するのか。「重力波は振動数で区別する。LIGOが観測するのは振動数が高い高周波だ。初期宇宙から出る重力波は振動数がとても低い。その間にビッグバンと現在の宇宙の間に存在する重力波背景放射がある。今後LIGOの観測装置の感度が高まれば、さらに多く観測でき、波源の振動数などを見れば区別することができる」――重力波と電磁気波の違いは。「電磁気波は電荷を持つ物体が互いに加速するとその周囲の電場と磁場が揺れ動くが、遠くから見れば波動として動く。それが電磁気波だ。重力波は重力が強い周辺から時空間が変わり、波が起きるもの。重力波はとても弱く、大きな質量でなくては相互作用をあまりしない」――国際協力研究の過程で政府支援は受けたか。「2014年の政府支援による研究が終わった後は各自が個人研究費で行っている。研究所は基本事業を活用する。幸い、LIGOは寄与金を要求しない」――ブラックホールが衝突する0.15秒間の信号をとらえたというが、衝突時間がそれほど短いのか。「二つのブラックホールが遠くから徐々に近づく時はとても弱いレベルの重力波が発生する。それはLIGOの装置の感度ではとらえられないものだ。衝突が近づくと光の60%程度の速度で二つのブラックホールが互いに近接し、最も大きいエネルギーを出す瞬間の重力波が今回とらえられたものだ。それで時間がとても短い」――研究して最も難しかった点は。「スタートする時に難しかった点は、われわれ(研究参加者)を除き、皆がうまくいかないだろうと悲観的であったことだ。初めて発見の報告を聞いた時は信じられなかった。だが、実際にデータ分析をして、信じるほかなくなった」(釜山大キム・ヨンミン博士課程)「初めて信号が検出されたという話を韓国研究団で私が最初に知ったと思う。ちょうど誕生日で、家で電子メールをチェックしたところ、『very interesting event』という題名のメールがきた。昨年9月14日午後8時ごろだった。とても明白で美しい信号だった。メンバーらと共有し、興奮してほとんど夜を明かした。それから検証しながら国際電話会議をしたが、施設が米国にあるため、そちらに合わせて時間が決められ、時差が一番大変だった。会議のある日は一日中何をするのも大変だった」(オ・ジョングン国家数理科学研究所専任研究員)――重力波は初期の宇宙を見ることができるというが。「原理的にわれわれが見る宇宙マイクロ波背景放射というのは、宇宙が38万年になるまでは不透明でその中を見ることはできない。重力波はとても初期まで透明だ。物質によって影響をほとんど受けないため、物質が遮っていても(重力波は)そのまま通り過ぎる。重力波の観測が難しいのは弱いためだが、そのためとても遠い昔の情報を伝えることができる。このような特徴のために重力波の呪いともいう」 yugiri@yna.co.kr
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