【ソウル聯合ニュース】韓国生まれの世界的な指揮者、チョン・ミョンフン氏が29日、10年間務めてきたソウル市立交響楽団の芸術監督職を退く意向を示した。 チョン氏は同日、ソウル市響の崔興植(チェ・フンシク)代表に辞意を表明した。団員宛ての手紙も送り、「芸術監督を続けることができなくなったことを非常に遺憾に思う」と心境をつづった。 崔代表は聯合ニュースの取材に対し、「チョン氏の辞意が固い。ソウル市響としては、できることなら100回でも説得したいが、チョン氏が団員宛ての手紙まで送った状況なのでどうすることもできない」と述べた。 31日でソウル市響との1年契約が満了となるチョン氏は8月に行った韓国メディアとのインタビューで「再契約はしない」と表明したが、ソウル市響とソウル市が芸術監督を続けるよう説得した。 ところが、27日にチョン氏の夫人がソウル市響の前代表に関する虚偽事実を広めるよう市響職員に指示した疑いで今月中旬に在宅のまま立件されたことが明らかになった上、翌28日に開かれた市響の理事会ではチョン氏の再契約案が保留となった。 これらの事態を受け、チョン氏は辞意を表明したとみられる。 チョン氏は、市響前代表がチョン氏の高額年俸や待遇に問題を提起したことに端を発した疑惑に悩まされてきた。 前代表は市響事務局の職員に対するセクハラや暴言を繰り返したとして昨年12月に辞任に追い込まれたが、今年2~3月にかけて複数の市民団体が、チョン氏が約5400万ウォン(約550万円)の業務費を横領した疑惑があるとして警察に告発した。 チョン氏は団員宛ての手紙で、自身に対する疑惑や前代表のセクハラ・暴言問題で職員が事情聴取を受けたことなどが不当だと訴え、これらの問題も辞任理由として挙げた。 チョン氏は再契約に関係なく、来年は9回にわたり市響の定期公演で指揮する予定だったが、全て降板した。 30日にソウル・芸術の殿堂で開かれる公演がソウル市響芸術監督としての最後の仕事となる。
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