【ソウル聯合ニュース】韓国政府は30日、安倍晋三首相が米議会の上下両院合同会議で行った演説について声明を発表し、強い遺憾を表明する一方で、対応戦略をめぐり慎重な姿勢をみせた。 安倍首相は演説で侵略と植民地支配、旧日本軍の慰安婦問題に言及せず、韓国政府をはじめとする国際社会の期待に背いたものの、韓国政府は一喜一憂せずに日本の姿勢の変化を促し続けていく方針だ。 安倍首相の演説が始まってから外交部の報道官声明が出るまでに15時間程度かかっており、韓国政府が対応に苦心したことがうかがえる。 声明は「正しい歴史認識を通じ、周辺国との真の和解と協力が成し遂げられる転換点になり得るにもかかわらず、そういう認識も、真の謝罪もなかったことを非常に遺憾に思う」と批判。「日本は植民支配と侵略の歴史、慰安婦被害者に対する残酷な人権蹂躙(じゅうりん)の事実を直視し、正しい歴史認識を持って周辺国との和解と協力の道を進まなければならない」と促した。 「遺憾」という表現を使ったものの、日本は正しい道に進むべきと促すメッセージが強く盛り込まれた。これは6月の韓日国交正常化50周年や8月の戦後70年談話発表を機に韓日関係を改善するべきとのメッセージとみられる。 外交部の魯光鎰(ノ・グァンイル)報道官は同日行われた定例会見で「今年、韓日国交正常化50周年を迎え、新しい韓日関係をひらく元年としようという希望を持っている」と話した。 また、「過去の歴史の問題は断固たる立場を持って対処しつつ、安全保障、経済、人的交流など相互に利益のある分野については協力を積極的に推進していくという方針のもと、韓日関係の発展に臨んでいる」と説明。歴史問題に関しては原則を保ちながらも安保や経済など互恵的な分野で協力するという「ツートラック政策」を続ける意向を明らかにした。 また、青瓦台(大統領府)の朱鉄基(チュ・チョルギ)外交安保首席秘書官は同日、韓国国防研究院(KIDA)などがソウルで主催したセミナーで、日本との関係について「今年中に(慰安婦問題など日本との)歴史問題を解決しようと努力している。歴史と安全保障を切り離して扱い、韓日関係(における問題)を必ず解決する」と述べた。 政府は一方で、日米の蜜月ムードや、日中の接近によって指摘されている韓国の外交的孤立などについては強く否定した。 魯報道官は会見で「米日関係が進展したからといって韓米関係が悪影響を受けたり、韓国外交の失敗と見たりするのは、度を越した解釈で、個人的には極端な考えだと思う」と指摘。韓米関係は過去最高の状態であると強調した。  yugiri@yna.co.kr
Copyright 2015(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0