沈み行くセウォル号=(聯合ニュース)
沈み行くセウォル号=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】聯合ニュースは旅客船セウォル号沈没事故などを2014年の韓国10大ニュースとして選んだ。10大ニュースは次の通り。■旅客船セウォル号沈没事故 旅客船セウォル号沈没事故は希薄な安全意識やずさんな事故対応などで数百人の尊い命が失われた史上最悪の惨事となり、韓国社会に大きな衝撃を与えた。 セウォル号は4月16日午前、南部の全羅南道珍島沖の海上で操舵ミスや過積載などで船体が傾き、沈没した。船には修学旅行中だった高校生325人を含む乗客や乗務員476人が搭乗。295人が死亡し、9人が行方不明となった。捜索は11月11日に打ち切られた。 乗客を救助せず船を脱出した船長ら乗務員15人には一審で懲役5~36年が言い渡された。 与野党は事故の真相究明に向けた真相調査委員会への捜査権と起訴権の付与をめぐり激しく対立したが、11月7日に特別法が国会を通過、真相究明作業は来年も続く見通しだ。■ローマ法王フランシスコが来韓 セウォル号事故で全国的に暗いムードが続く中、ローマ法王フランシスコが8月、アジアの初の訪問地として韓国を訪れ、社会に勇気と元気を与えた。 法王は4泊5日間、セウォル号遺族や障害者、北朝鮮脱出住民(脱北者)らの社会的弱者と面会。特に、セウォル号遺族とは4回面会し、遺族の痛みを癒やした。 ミサでは南北が平和と和解に向け努力するよう呼びかけ、世界唯一の分断地域である朝鮮半島に平和のメッセージを伝えた。■朴大統領元側近の国政介入疑惑 朴槿恵(パク・クネ)大統領の元側近で「陰の実力者」とされるチョン・ユンフェ氏らが政府人事に介入したとの疑惑が政界を揺るがした。疑惑は大統領側近らの権力闘争説に発展し、検察は捜査に乗り出した。 発端は11月28日付の世界日報の記事。同紙はチョン氏が青瓦台(大統領府)高官らと秘密会合を開き、政府の人事に介入しようとしたとする青瓦台の内部文書について報じた。 朴大統領は文書の内容は事実無根と主張したが、波紋は広がりつつある。■韓国軍で事件・不正相次ぐ 韓国軍で先輩兵士の暴行による兵士死亡や銃乱射、性犯罪事件、防衛産業不正などが相次いで発生した。 韓国北部の砲兵部隊で4月、先輩兵士らの日常的な暴行や吐いたつばをなめさせるなどの虐待行為を受けた兵士が死亡する事件があった。先輩兵士らは殺人罪などで起訴され、主犯の兵士には懲役45年が言い渡された。6月には軍事境界線近くの部隊で兵士が銃を乱射し、5人が死亡、7人が負傷する事件があった。 最新鋭救助艦「統営」に搭載された2億ウォン(約2130万円)の旧型ソナー(音波探知機)が20倍超の41億ウォンで納品されたことなども発覚し、防衛産業の不正に対する大々的な捜査が行われた。■首相候補らが相次ぎ辞退 政府高官人事に批判 セウォル号沈没事故以降、指名された首相候補が相次いで辞退し、側近ばかりを重用する朴大統領の人事への批判が強まった。   鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相はセウォル号沈没事故から11日後の4月27日、事故に対する政府のずさんな対応の責任を取り、辞意を表明。朴大統領は5月22日に元大法院(最高裁)判事の安大熙(アン・デヒ)氏を指名した。しかし、安氏は判事退任後に弁護士として多額の報酬を得ていたことなどが批判され、指名からわずか6日で候補を辞退。6月10日に文昌克(ムン・チャングク)元中央日報主筆を新たに指名したが、文氏は日本による植民地支配や南北分断は「神の意思」などとした過去の発言が強い批判を浴び、候補を辞退した。 朴大統領は鄭氏の留任を決めた。■大学入試で出題ミス相次ぐ 昨年実施された大学修学能力試験(日本のセンター試験に相当)の世界地理で問題に誤りがあったとして受験生が韓国教育課程評価院を訴えた訴訟で、ソウル高等法院(高裁)は今年10月、原告の主張を認める判決を言い渡した。裁判所で出題ミスが認定され、大学入試の成績が修正されたのは初めて。 受験時に誤答と処理された受験生約1万人の成績が上昇し、大学側は修正された成績を基に昨年の選考を再び算定し、追加合格者を決める。変更により合格となった受験生は来年3月に定員外で該当大学の新入生または、編入生として入学することができる。 さらに今年11月に実施された大学修学能力試験でも生命科学の1問と英語の1問に出題ミスがあり、いずれも正解が二つあることが認められた。教育課程評価院の金成勲(キム・ソンフン)院長は出題ミスの責任を取り、辞意を示した。 相次ぐ出題ミスにより教育当局への批判が高まっており、朴大統領の指示を受け制度改善に向けた委員会が発足した。■統一地方選「ドロー」 逆風受けるも与党善戦 6月4日に投開票された統一地方選は、ソウルなど主要8都市(特別・広域市)と9道の首長選で、与党セヌリ党が京畿道や仁川市、釜山市など8市・道、最大野党の新政治民主連合はソウル市や中部の忠清道を中心に9市・道で勝利を収めた。 セヌリ党と新政治民主連合による事実上の一騎打ちとなり、与党と野党の比率は選挙前の9対8から8対9に逆転した。ただ、旅客船セウォル号沈没事故をめぐる政府への批判の高まりから与党の苦戦が予想されていたため、セヌリ党が善戦したと評価された。 一方、226市郡区(基礎自治体)の首長選ではセヌリ党が117市郡区、新政治民主連合が80市郡区で勝利した。前回2010年の統一地方選でセヌリ党は82市郡区の獲得にとどまったが、今回雪辱を果たした。■サムスン正念場 李会長倒れ業績不振も鮮明 李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長が5月10日に急性心筋梗塞を起こし、ソウル市内の自宅で倒れ、近くの病院に運ばれた。心臓まひの症状があったため心肺蘇生術を受け、翌11日未明にサムスンソウル病院に移送され「ステント」と呼ばれる網状のチューブで心臓の血管(冠状動脈)を広げる手術を受けた。入院から約2週間で昏睡(こんすい)状態から脱し、現在はリハビリ治療を受けているが、認知機能は回復していない状態だ。 一方、サムスン電子の7~9月期の営業利益はスマートフォン事業の不振などで前年同期比6割減となるなど、減速が鮮明になっている。 サムスングループは11月、石油化学のサムスン総合化学など系列4社を韓国中堅財閥のハンファグループに売却することを発表した。非主力部門を順次売却し、組織のスリム化を進める方針だ。■不況で税収不足 「ばらまき福祉」の限界露呈 不況の長期化に旅客船セウォル号沈没事故などが重なり、今年の経済成長率は3.5~3.7%にとどまる見通しだ。消費者物価上昇率も2年連続で1%台にとどまっており、デフレ懸念が強まっている。各研究機関などは来年も成長率が3%台半ばから後半、物価が1%台と予測するなど、低成長と物価の低迷が続く見通しだ。 景気低迷による税収不足に陥る一方で、来年度(1~12月)予算案の国会審議では学校給食の無償化や3~5歳児の保育支援など「無償福祉」めぐり論争が起こった。選挙で候補者らが公約した財政無視の福祉ばらまき政策の限界が露呈した。■金第1書記の最側近ら3人が電撃来韓 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の最側近、黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長や崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党書記、金養建(キム・ヤンゴン)党統一戦線部長が10月、仁川アジア大会の閉会式に合わせて韓国を訪れた。 3人の電撃的な来韓は南北関係の改善に向けた北朝鮮のメッセージとして受け止められた。北朝鮮はアジア大会に選手団と共に、大規模な応援団を派遣する方針だったが、南北当局が合意に至らず、南北関係に暗雲が広がっていた。 黄氏らは韓国が提案していた朴槿恵政権で2回目となる南北高官級協議の受け入れを表明したが、協議はいまだに行われず、民間団体による北朝鮮体制非難のビラ散布や北朝鮮住民の人権問題などで対立を続けている。
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