【ソウル聯合ニュース】韓国とカナダが自由貿易協定(FTA)に署名した。署名式はカナダ・オタワで23日(日本時間)に行われた。
 両国は10年内に貿易品目の97.5%に対する関税を撤廃する。韓国にとっては最大輸出品の乗用車の関税(6.1%)が3年内に撤廃され、カナダ市場で主要競争国の日本などに比べて有利な地位を確保する見通し。自動車部品(6%)やタイヤ(7%)、洗濯機・冷蔵庫(8%)なども3~5年で撤廃することで合意し、輸出拡大が見込まれる。
 韓国は「FTA経済領土」を急速に拡大している。「FTA経済領土」とは、自由貿易協定(FTA)を締結した国の国内総生産(GDP)の合計で、韓国は世界3位につけている。
 関税の引き下げや撤廃により、自動車や家電製品などの輸出拡大が期待される一方で、競争力の低い農林水産物市場の門戸を一部開くことになり、打撃が懸念される。
 FTA拡大は韓国全体の経済成長には寄与するが、農畜産業に対する打撃は避けられないとの見方が一般的だ。韓国政府は農業分野の支援対策を推進しているが、農家の反発は続いている。
 韓国政府はカナダとのFTA、4月に署名を終え国会に批准同意案を提出したオーストラリアとのFTAが来年初めに発効することを期待している。韓国がFTAを締結するのはオーストラリアが11番目、カナダが12番目となる。
 韓国は現在、46カ国とのFTAが発効している。2004年の韓国・チリFTAを皮切りに、欧州連合(EU、26カ国)や東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)、米国とも発効した。これら締結国のGDP総額は、世界のGDP(2012年基準)の56.2%にあたる。チリ(78.2%)とメキシコ(61.3%)に次いで3番目に大きい。
 コロンビア、オーストラリア、カナダと締結したFTAがすべて発効すれば、FTA経済領土は60%に達する。さらに韓中FTA、韓中日FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などが締結されれば、80%を突破するものとみられる。
 カナダ、オーストラリアと結んだFTAは、既に発効したFTAと同様に、主に製造業分野である輸出主力品目の相手国の関税障壁を取り除き、韓国の農林水産物輸入の関税を次第に低くすることが骨子だ。
 オーストラリアは韓国製の自動車、自動車部品、家電製品などに対する関税を協定発効後直ちに、または3年以内に撤廃する。 
 コメ、粉ミルクなど、韓国のセンシティブ(敏感)品目の相当数は現行の関税を維持するものの、一部品目は打撃を受けることが予想される。オーストラリアとカナダ産牛肉に課せられる関税(40%)は次第に下げられ、2030年には無関税となるとみられる。
 韓国政府はオーストラリアとのFTAが発効すれば、実質GDPが10年間で0.14%増加すると予想した。カナダとのFTAも製造業を中心に生産増大効果があると分析した。
 だが、カナダ、オーストラリアとのFTAが来年から15年間発効した場合、農畜産業分野の生産が2兆1000億ウォン(約2200億円)以上減少すると、韓国農村経済研究院は予想した。このうち、畜産業の生産減少額が約1兆7500億ウォンで最も大きかった。
 韓国政府はこれに伴い、2015年から10年間、農畜産業に2兆1000億ウォンを追加で支援するという計画を立てた。
 韓中FTAの場合、韓国が早期関税撤廃を要求する自動車、石油化学、機械、情報技術(IT)など品目に対し、中国が譲歩し、韓国が農林水産物市場の開放について、従来よりも多少柔軟な姿勢を見せることにより、交渉が進むものとみられる。 
 韓中FTAの13回目の交渉は22日から5日間の日程で、中国・北京で開かれている。両国首脳は7月に年内妥結の意志を明らかにし、中国は11月に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の期間中に妥結することを目指している。
 韓国政府関係者は「輸出増加と経済活性化のためにはFTAを通じた貿易拡大が不可欠」とした上で、「その過程で農畜産業の被害を最小化する対策を準備し、推進する」とコメントした。

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