【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が昨年11月、詳細を明らかにしないまま韓国のスパイを逮捕したと発表した該当の人物が、韓国人宣教師キム・ジョンウク氏であると27日、確認された。
 米AP通信は、キム氏が27日に平壌で記者会見を行い、「北朝鮮に入った翌日の昨年10月8日に逮捕された」と明らかにしたと報道した。北朝鮮の逮捕発表当時、韓国政府は身元確認を要請したが、北朝鮮は応じなかった。
 今後、キム氏の釈放と関連し、韓国と北朝鮮の間で交渉が本格化する可能性がある。
 北朝鮮が外信インタビューの形式でキム氏の姿と肉声が収められた映像を公開したことは、釈放の可能性を示唆する「良い信号」という解釈がまず挙げられる。
 韓国・東国大北韓学科の高有煥(コ・ユファン)教授は「南北関係改善の雰囲気が形成された中で、キム氏解放を前提に情報を公開した可能性が大きい」と分析。また解放の流れに進むものの、韓国側に見返りを要求する可能性があると指摘した。
 北朝鮮は抑留中の外国人に「公開謝罪」をさせ、その後に解放する方式を取ることがある。北朝鮮は昨年、訪朝ツアーに参加していた米国人男性メリル・ニューマン氏を拘束し、「謝罪記者会見」を経て解放した。また、2009年に北朝鮮へ不法入国して抑留された韓国系米人のロバート・パク氏も「謝罪記者会見」の後に解放された。
 北朝鮮が早期にキム氏を解放すれば、離散家族再会行事を契機に形成された南北関係改善の流れにも肯定的な影響を及ぼすものとみられる。
 だが北朝鮮は簡単にはキム氏を解放しないのではないかとの懸念も依然として強い。
 北朝鮮がキム氏をまだ正式な裁判にかけていないとみられるだけに、最低限の司法手続きを行ってから、赦免の形式で解放するだろうとの分析だ。
 また南北間でキム氏の解放について協議が始まれば、北朝鮮側がこれをカードとして活用するとの分析もある。
 ソウル大統一平和研究院の張容碩(チャン・ヨンソク)上級研究員は「キム氏が情報機関の助けを受けたと自白したことから、韓国側に謝罪や再発防止の約束を要求する可能性がある」とした上で、帝国主義勢力の思想浸透を対内向けに警告し、対外向けには敵対行為を行わないよう宣伝するために公開記者会見を行ったのではないかと分析した。
 一方、韓国政府はキム氏の記者会見直後から本格的な対応策の準備に入った。政府は軍事境界線がある板門店の南北連絡官を通じて北朝鮮側に対し速やかにキム氏を解放するようにとの通知文を送ることを検討している。

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