ウォンの対ドル相場は昨年1年間で1.4%上昇した。対円については23.6%の上昇を記録した。
韓国は昨年、過去最大となる442億ドル(約43兆8500億円)の経常黒字を記録し、外貨準備高が増え続けた。さらにアベノミクスによる量的緩和や米国の通貨政策の影響でウォン高円安は一層進んでいる。
年明け2日のソウル外国為替市場ではウォンが一時100円=996.2ウォンまで急騰。5年4か月ぶりに100円=1000ウォンを割り込んだ。
◇円安ショックでサムスンなどの株価急落
ウォン高円安によって、韓国企業が競合する日本企業に押されるとの懸念からサムスン電子や現代自動車など主要輸出企業の株価が年初から大きく下落した。
問題は影響が個別企業にとどまらず、韓国経済全体にのしかかることだ。民間シンクタンクの現代経済研究院はこのほど、100円=1123ウォンだった昨年のウォン円の平均レートが100円=954ウォンまでウォン安になった場合、韓国の輸出が3.2%減少するとの分析を発表した。この分析は円ドル相場が1ドル=100円台、ウォン・ドル相場が1ドル=1050ウォン台になることを前提にしている。
産業別では鉄鋼(5.0%減)、機械(4.6%減)、自動車(4.5%減)、石油化学(4.4%減)、IT(2.5%減)の順でダメージが多いと分析された。
同研究院の経済動向分析室長は「サービス収支や内需などを考慮せず、輸出の減少による影響だけをみた場合、成長率が0.10~0.15%低下する」と話す。
ハナ金融経営研究所が先月発表した報告書も、米国の出口戦略や国際金融市場の不安定さとともにアベノミクスによる為替レートの影響を主要リスク要因として挙げた。
報告書は円ドル相場で10%円安が進んだ場合、韓国の国内総生産(GDP)が1年目は0.23%、2年目は0.51%それぞれ減少し、今後4年間の年平均減少幅は0.58%に達するとリポートした。
韓国の国際金融センターは昨年末に各投資銀行の円ドル為替レート展望をまとめた。これによると、平均見通しは3か月後が1ドル=104.92円、半年後が105.58円、1年後が109.86円だった。
ただ、同センターは「アベノミクスに対する懐疑的な考えが出て、円安が昨年上半期のように急激に進むことはないだろう」と予想。また、ウォン高によって海外の投資家による韓国市場への資金流入が鈍化し、為替相場が大きく動かない可能性があるとの見解を示した。
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