【ソウル聯合ニュース】安倍晋三首相の靖国神社参拝は韓日中3カ国間の外交の緊張をさらに高めるとみられる。米国のリバランス(再均衡)政策と中国の台頭という構図が鮮明になる中、韓日中の領土や防空識別圏、歴史などの問題、さらに北朝鮮の内部情勢も変数に加わり、北東アジア情勢はいつにも増して不安定だ。
 安倍首相の靖国神社参拝は韓国と中国が敏感に反応する歴史問題を直接刺激したという点で、韓日中協力の流れを失わせる要因になりかねない。3カ国が慎重に打診してきた韓日中首脳会談の開催は当分見送りとの見方が強い。
 3カ国会談は2008年から定例化しており、今年は5月の韓国開催が検討されていたが、日本との尖閣諸島をめぐる対立から中国が拒否し、延期された。強硬姿勢だった中国がいくらか態度を軟化させ、3カ国は先月7日の次官級会議で3カ国首脳会談開催に向け努力することで一致した。具体的な時期は決まらなかったものの会談の重要性を再確認したことは、3カ国間協力の協議復活への第一歩として評価された。
 そうした状況で安倍首相が靖国神社参拝に踏み切った。ようやく動き出そうとしていた3カ国間協力に冷や水を浴びせるもので、韓国政府は「韓日関係はもちろん、北東アジアの安定と協力を根本から損ねる時代錯誤的な行為」と非難する声明を発表した。
 また、世界3番目の規模の地域統合市場を目標に3カ国が2011年から推進している韓日中自由貿易協定(FTA)締結交渉へのマイナス影響も不可避とみられる。3カ国は先月、FTA締結に向けた第3回交渉を終え、来年2月に4回目交渉に臨むことにした。しかし、3カ国をめぐる政治状況のためにFTA交渉が暗礁に乗り上げる可能性も排除できない。
 日中間のあつれきが深まり、軍事的な緊張が高まることへの懸念の声も上がる。中国は尖閣諸島をめぐる問題の延長線として防空識別圏を設定した。中国が強硬姿勢を打ち出せば、日本だけでなく、防空識別圏の一部が重なる韓国との間でも摩擦に起きかねない。

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