【ワシントン聯合ニュース】韓国が環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する可能性が強まっており、今後の課題や交渉の行方が注目される。
 米通商専門誌のインサイドUSトレードはこのほど、韓国のTPP交渉参加が事実上確定し、近く公式発表があると報じた。これについて韓国青瓦台(大統領府)も3日、TPP参加を検討してきたことを明らかにした。
 韓国のTPP参加をめぐっては、韓国国内で意見がまとまっていなかった。対外依存度が高い韓国経済の特性上、米国を中心とする先進国主導の巨大な経済圏から取り残されてはならないという主張がある一方で、農産物輸入の拡大などに対する反発も強かった。
 そうした韓国が遅ればせながらTPPに前向きになったのは、3月に日本が交渉参加を表明した影響が大きいと分析される。韓国抜きでTPPが締結された場合、域内貿易で主導権を奪われかねないという危機感を募らせたのだ。
 韓国政府は、TPP交渉参加の12カ国のうち米国など7カ国と自由貿易協定(FTA)を締結済みで、それ以外の国とは貿易量が多くないため、TPP参加による実益は大きくないとみていた。しかし、損益を分析した結果、「失うものよりも得るもののほうが大きい」と結論付けたようだ。TPPに参加しない場合、貿易障壁撤廃による市場拡大のチャンスを逃すだけでなく、原産地規定や貿易の技術的障害などでも不利な立場に置かれるとの指摘を勘案したとみられる。
 また、オバマ米政権が遠まわしに交渉参加を促したことも背中を押した可能性がある。韓米FTA交渉を担当したカトラー米通商代表部(USTR)次席代表代行は年初に、「韓国がTPP交渉に参加するのは妥当なこと」と発言していた。
 問題は韓国国内の世論だ。インサイドUSトレードも、一部の反対世論のために朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は政治的な負担があるだろうと指摘した。
 慎重論を唱える韓国の専門家らは、TPPに参加すれば農産物市場開放への圧力が強まらざるを得ず、農民の反発は必至と主張する。現在推進中の韓中FTAにもマイナスの影響を及ぼす恐れがあると指摘している。さらに、米国から牛肉市場の一層の開放とコメ市場の開放を迫られる可能性が大きいと警告する。
 朴大統領が週明けのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議かその後にTPP交渉参加を宣言する場合、韓国政府は世論の説得と支持取り付けに注力することになりそうだ。

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