【ソウル聯合ニュース】日本に強制徴用され太平洋戦争時に犠牲になった朝鮮半島出身者の遺骨を発掘し、身元調査に取り組む日本人がいる。
 NPO法人「戦没者追悼と平和の会」の塩川正隆理事長は、父親と叔父を太平洋戦争で失くし、沖縄やフィリピンで犠牲者の遺骨を発掘してきた。今月24日に韓国で開かれた「韓日過去清算市民運動報告大会」に出席するため来韓した。
 塩川氏が強制徴用された韓国人戦死者の遺骨発掘に乗り出したのは、ある韓国人が沖縄に強制徴用された父親について2010年に厚生労働省に資料調査を要請したところ、死亡記録がないという回答が返ってきたと聞いたことがきっかけだった。
 その後、フィリピンで遺骨発掘作業中に叔父が所属していたレイテ歩兵第77連隊所属の韓国人350人の記録が残っていないことを知り、韓国人戦死者の遺骨発掘に取り組むことを決めた。
 塩川氏は30日、「日本政府は日本人遺族には生死確認をしてくれる。死亡記録自体がないとは言わない」と説明した。その上で、「これは犠牲者について日本政府が日本人か、韓国人などの外国人かを区別している証拠だ」と主張した。
 また、死亡記録が残っていないのは、日本が朝鮮半島出身者を動員した事実を否定し責任を回避しようとするものだと指摘。生死に関する記録さえもないのはおかしいと話した。
 そこで塩川氏はまず、遺族からDNAを採取し発掘した遺骨の身元と照合し、本人と確認されれば遺族の元に遺骨を返すことを計画した。
 塩川氏は韓国人の遺族らと共に近く、沖縄で記者会見を開き、日本政府の無責任な態度を糾弾し遺骨のDNA鑑定を求める。
 塩川氏は1977年に父親が亡くなった沖縄の防空壕を訪ねた際に、遺骨や遺品が32年たっても収集されずに放置されている現実を見て遺骨発掘に取り掛かった。
 現在、遺骨のDNA鑑定などを求める内容を盛り込んだ太平洋戦争戦死者遺骨収集に関する法律の制定を目指し努力しているが、保守色の強い安倍晋三政権が誕生したことで、法律の制定は厳しい状況だ。
 塩川氏は「安倍政権が憲法を改正すれば、日本の戦争が可能になる道が開ける。私の父や叔父のように若者たちが戦場に動員されることは再びあってはならない」と話した。

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