兪弘濬教授=24日、ソウル(聯合ニュース)
兪弘濬教授=24日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】「文明の光を日本に伝えたのは韓国の誇りですが、日本の古代文化が全て韓国でつくられたわけではありません。日本の歴史歪曲(わいきょく)を非難するように、日本人が努力して成し遂げたことを批判する必要はありません」――。 「私の文化遺産踏査記 日本編」を出版した明知大学の兪弘濬(ユ・ホンジュン)教授(美術史)は24日のインタビューで「日本をありのまま、歴史的事実をそのまま理解しなければなりません」と強調した。 同作を読んだ読者からは日本の歴史についてよく知らなったという反応があった。それを聞いて、この本が日本観光の案内書になればと感じたという。 兪教授は当初、「私の文化遺産踏査記」の韓国国内編を書き終えてから日本編に取り掛かるつもりだった。 ところが、九州に修学旅行で訪れた韓国の高校生たちがありきたりな観光コースを回ったことを知り、さらには昨年末から日本で「嫌韓論」の声が強まったことを受け、予定より早く日本編の執筆に取り掛かった。 日本編は1巻が九州、2巻が飛鳥・奈良、3巻が京都、4巻が大阪を取り上げ、全4巻で構成されている。今回はまず1、2巻が出版された。 兪教授は「日本のなかの韓国文化を考察する一方で、日本の古代文化を通じ韓国の歴史を朝鮮半島の枠を越え、東アジア全体の歴史の中で見つめた」と紹介した。 朝鮮半島が日本の歴史に大きく影響を及ぼしたことを記すとともに、日本が自らつくりあげた文化の優秀性を肯定的に評価し両国が歴史を正面から捉えるためには、「歴史コンプレックス」から抜け出すべきだと力説した。 兪教授は「日本は古代史コンプレックスを抱えているため歴史を歪曲し、韓国は近代史コンプレックスがあるため日本文化を無視している」と説明した。 両国の読者を意識して書いたという兪教授は、これからはありのままの事実をそのまま双方が共有すべきだと両国の読者に助言した。 日本の読者に対しては、古代、朝鮮半島に世話になったことを省みて歴史歪曲を正直に認めるべきだと呼び掛けた。また、「リーダーは金や権力ではなく『徳』を兼ね備えなければならない」とアドバイスした。 韓国の読者に対しては「日本の古代文化を全て韓国がつくったと見なしてはいけない」と説いた。 また、韓国では日本に連行された朝鮮の陶工たちを奴隷が虐待されているかのように描くことがあるが、陶工たちはもともと朝鮮では最下層の扱いを受けていた。だが、日本では職人としてきちんと扱われたため、日本の陶磁器が世界的な名品として成長したと指摘した。 日本編は日本語にも翻訳され出版される予定だ。両国で出版されることについて「共存と共生関係を回復するためには誰かが双方から批判を受ける覚悟で執筆しなければ、韓日古代史の連帯を復元することはできない」と語った。 さらに、韓国人が日本についてきちんと描いた本は「看羊録」(1598年、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に捕虜になった姜沆が日本の内情を秘密裏に本国政府に報告した文集)以来、ほとんど執筆されていないと話した。植民地支配を経たことで、日本を肯定的に描くことはできなくなったと指摘した。 続けて、「こんなに客観的に韓国が日本を捉えようとしているという評価が得られれば、韓日の歴史を正しく見つめるきっかけになるのではないかと期待している」と話した。 日本の遺跡地で必ず見るべきものに奈良県飛鳥地方(現在の明日香村を中心とした地域)を挙げた。 今年大学を定年退職する兪教授は、これまで韓国の遺跡を巡り執筆した踏査記シリーズを7巻出版している。済州島編に続き南漢江、伽耶、独島などを出版し踏査記シリーズを終える予定だ。  sjp@yna.co.kr
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