【ソウル聯合ニュース】北朝鮮で市場経済が拡大している。北朝鮮は独自の社会主義にこだわることで知られるが、市場経済の拡大は逆らえない流れになっている様相だ。
 社会主義は基本的に財貨の生産、分配などの経済活動が中央政府の指示で行われる計画経済を土台とする。しかし、北朝鮮の経済分野では最近、企業所や商店などの下部組織と個人の自由度が拡大する具体的な事例が続々報告されている。
 ロシアの国営ラジオ放送の「ロシアの声」は15日、北朝鮮で国営企業と民間企業の境界があいまいになっている現象が目撃されているとし、「書類上では国営になっているが、実際は民間が運営している企業が多数」と紹介した。
 資金力のある企業投資家は輸出品を購入した後、政府機関名で海外貿易活動を行い金を稼ぎ、利益の一部は国庫予算に入れるか、官僚に配分するという。
 企業投資家には企業所関係者のほか、軍人もいる。彼らは直接労働者を雇用して生産設備を購入し、生産・販売にも関与する。
 ロシアの声は特に、炭鉱や金鉱を経営する投資家らが多額の資金を創出していると伝えた。農業、軽工業分野の小規模企業だけではなく、大規模の民間企業が誕生したと言える。
 北朝鮮では1990年代後半に「苦難の行軍」と呼ばれる深刻な食糧難で、配給制度が事実上崩壊し、民間市場など裏経済が発達。2002年7月1日に「経済管理改善措置」を発表して以来、高金利で金を貸す新富裕層の「銭主」まで登場した。
 北朝鮮が5月に制定した「経済開発区法」が外国投資家だけではなく、北朝鮮の機関、企業所を開発当事者に含めたのも、こうした民間経済の拡大と関係がありそうだ。北朝鮮当局が地方の経済特区を開発するに当たり、資金力のある機関、企業所を活用しようとする意図が読み取れる。
 北朝鮮の市場経済の発達で、高官子女の出世は昔ほど保障されなくなったと、ロシアの声は伝えた。例えば、海外に親せきのある北朝鮮住民は「下位出身成分」と分類されていたが、現在は経済的成功で出世するチャンスが多くなっているという。金を重視するムードが社会権力まで変化させたとの分析だ。
 北朝鮮のメディアも生産および商業活動における個人の役割を強調し、計画経済を緩和しようとする動きを見せている。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は16日付で、平安南道安州市の商業管理所長が3年前に赴任してから当局の計画に伴う消費品販売に満足せず、創造的姿勢で大きな成果を収めていると称えた。
 14日付では「計画より多く生産した作業班や労働者にはそれに相当する報酬があるべきだ」とし、インセンティブの重要性を強調した内容が掲載された。
 北朝鮮専門家らは金正恩(キム・ジョンウン)体制が今年に入り、経済発展と住民生活向上を積極的に模索しているため、新たな経済措置に乗り出す可能性に注目している。
 民間シンクタンクのIBK企業銀行経済研究所は「北朝鮮は国家経済が緩和し、市場経済が急速に拡大する流れを見せている。金正恩体制は経済改革措置に一層果敢に乗り出すだろう」と予想した。

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