【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の挑発や威嚇で昨年末から緊迫状態が続いていた朝鮮半島が、新たなヤマ場を迎えている。
 北朝鮮が反発してきた韓米両軍の野外機動訓練「フォールイーグル」が30日に終了し、朝鮮半島の緊張が和らぐとの期待感が強まる一方、南北が共同運営してきた北朝鮮の開城工業団地をめぐる問題は次第にこじれ、「南北関係の最後のとりで」とされた同団地は今や閉鎖の危機に直面している。こうした状況がどう絡み合うかによって、朝鮮半島情勢の行方は全く違ってくる。
 情勢変化の方向とスピードを一次的に決定付けるのは、やはり開城工業団地の問題だ。
 北朝鮮労働者への賃金支払い問題などを協議するため現地に残っている韓国側関係者7人が全員撤収し、韓国政府が電力や水道を止めるなどの措置を取れば、団地は事実上、工場だけが残る廃団地となる。そうなれば、朴槿恵(パク・クンヘ)政権では操業の再開が不可能だとの見方も提起されている。
 南北関係が過去最悪だったといわれる李明博(イ・ミョンバク)政権でも維持されていた開城工業団地が閉鎖されれば、対話や人道支援を通じ南北の信頼構築を目指す朴大統領の「朝鮮半島信頼プロセス」は今以上の難関にぶち当たることになる。こうした危惧から、政府は団地を維持していく方針を繰り返し表明してきた。
 また、韓国側からの団地への立ち入り禁止、北朝鮮労働者の撤収などの措置を取った北朝鮮も、まだ閉鎖の意志を示していない。
 南北関係の専門家は「北朝鮮はその気があれば、もっと強硬な手段を取っていたはずだ。韓国側関係者7人を残らせたのも、単なる金の問題ではなく対話の取っ掛かりを失わないようにするためだろう」と述べた。
 開城工業団地の問題をめぐる南北の対話が実現し、同団地に正常化の兆しが見えれば、これは朝鮮半島信頼プロセスが動き始めたことを意味する。2008年の韓国人観光客射殺事件で中断している北朝鮮・金剛山の観光再開、2010年の韓国海軍哨戒艦撃沈事件を受けた韓国の対北朝鮮制裁(5・24措置)の解除といった問題に、対話が発展していく可能性もある。
 2か月にわたり行われていたフォールイーグルが終了したことも、対話再開への期待を高める要因となっている。特に、韓米軍の訓練を批判してきた北朝鮮が、東海岸に配置した中距離弾道ミサイル「ムスダン」などを撤収させる動きを見せれば、緊張緩和ムードがさらに顕著になるとみられる。
 ただ、米国などは挑発と制裁、対話と見返りを繰り返す過去のパターンを続けたくないという思いが強く、北朝鮮がはっきりと態度を変化させるまでは朝鮮半島情勢の変化もゆっくりとしか進まない、との見方もある。
 政府筋は「北朝鮮の態度変化が重要だ。開城工業団地問題などに関する態度を変えれば、朝鮮半島情勢も徐々に対話を模索する方向に移行するだろう」と話した。

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