【ソウル聯合ニュース】韓国と米国の自由貿易協定(FTA)が15日で発効から1年を迎える。米国は世界の国・地域の国内・域内総生産(GDP)の23%を占める経済大国で、締結までは7年以上の時間を要した。期待と懸念の中で発足した韓米FTAの成果と課題を検証した。
◇輸出増も期待に及ばず
 昨年3月15日午前零時から韓国の7218品目(85.6%)、米国の6175品目(87.6%)の関税が撤廃された。
 韓国関税庁によると、昨年3月から今年1月まで韓国の対米輸出額は538億ドル(約5兆1550億円)、輸入額は391億ドルを記録した。2011年3月~2012年1月と比較すれば、輸出は2.7%増えたが、輸入は7.3%減少した。貿易収支の黒字規模は同期間に102億ドルから147億ドルと、44%急増した。
 外交通商部の崔京林(チェ・キョンリム)FTA交渉代表は、「対内外の経済環境を踏まえれば、発効1年間で多くの成果があったとみることができる。特に関税優遇品目の貿易結果をみれば、明らかだ」と強調した。
 関税優遇品目の輸出入動向は、統計の集計が遅れ最新の資料が出ていないが、関税庁が昨年9月に発表した資料「韓米FTA発効6か月」で推定することができる。
 昨年3月15日から9月7日までFTA関税優遇品目の輸出増加率は14.2%で、一般品目(マイナス2.4%)を圧倒した。輸入も関税優遇品目(2.1%)と一般品目(マイナス14.6%)の差が大きかった。
 関税優遇対象品目のうち、自動車部品、ゴム製品、繊維および化学機械などの輸出増加率が目立った。輸入ではオレンジ、クルミ、アーモンドなどが好調だった。
 昨年に外国人の投資額が多く増加したこともFTA効果と解釈できる。
 ウリィ金融経営研究所によると、2012年の韓国への海外直接投資(FDI)は申請額ベースで前年比18.9%増の162億6000万ドルを記録した。実行額ベースでも昨年FDIは前年比57.8%増の103億8000万ドルとなり、過去最高を記録した。
 米国、欧州連合(EU)、東南アジア諸国連合(ASEAN)の世界3大経済圏とのFTA締結で、「FTAハブ」としての韓国の魅力が高まり、日本、中華圏の投資が急増したことがFDI増加につながった。
◇変わっていく通商環境
 韓米FTAに対する評価は真っ二つに割れているが、この1年間の結果にこだわる必要はないとの指摘が大勢だ。世界GDPの23%を占める巨大市場とのFTAを通じ、韓国が貿易強国に飛躍するためにはこれからが重要であるためだ。
 米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)と今年から交渉に入る米・EU間のFTAなどが数年後に現実化すれば、韓国の魅力が低下するのは避けられない。
 サムスン経済研究所は「通商環境が目まぐるしく変化している。注目すべきは日本がFTA後進国という汚名を返上するため、TPPに熱意を示し欧州とFTAを推進していることだ。一部産業では韓国が受けているFTA効果が減少することもあり得る」と指摘した。
 この1年間の商品交易とサービス市場で露出した問題点をチェックし、対応策を講じることも重要だ。
 中小企業がFTAを活用し、輸出を増やすことができるよう、関税庁など政府と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)がコンサルティングを強化し、産業別、業種別に市場攻略戦略を立てることに政府と企業が積極的に協力すべきだ。
 また、韓中FTA、韓日中FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などは韓米FTAと相乗効果を発揮できるよう通商戦略を立てなければならない。あわせて韓国消費者がFTAに伴う商品価格引き下げの恩恵を受けられるよう、市場監視システムを強化する必要がある。

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