【ソウル聯合ニュース】北朝鮮脱出住民(脱北者)を装い韓国に入国し、ソウル市職員として勤務していた北朝鮮の華僑の男が、韓国に住む脱北者約200人の情報を北朝鮮の国家安全保衛部に渡していたことが確認された。
 ソウル中央地検は26日、国家保安法および旅券法違反罪でソウル市の契約職員の男を起訴した。
 検察によると男は北朝鮮で3年課程の医学専門学校を卒業し、準医師の資格を取得。医療機関に勤務しながら、華僑の身分を利用して中国から北朝鮮に送金するブローカーとして活動し、2004年に中国に渡った。
 さらに北朝鮮国籍の脱北者を装い韓国に入国後、ソウル市内の名門大を卒業した。2011年6月からソウル市庁で脱北者支援業務を担当する契約職員として勤務してきた。
 男は韓国入国後に中国経由で北朝鮮に5回入国した。その過程で2006年5月に北朝鮮の国家安全保衛部に取り込まれ、脱北者に関する情報収集の指令を受けた。
 検察は男が北朝鮮の指令に従い200人余りの脱北者の情報を3回にわたり、北朝鮮に残っている妹を通じ国家安全保衛部に渡したとみている。
 北朝鮮に渡った脱北者情報のうち、ほとんどは男が脱北者関連団体で活動しながら収集したものだが、50~60人に関する情報はソウル市職員として在職中に収集されたものであることが分かった。
 男の妹は昨年10月に脱北者を装い韓国に入国したが、当局による調査の過程で摘発された。国家情報院はこれを受け男に対する内偵を進めてきた。
 男は華僑出身であることを隠して脱北者として認定され、住居支援金や定着金など約2500万ウォン(約211万円)を韓国政府および地方自治体から不正に受給した容疑も持たれている。また身分を偽って不正に取得した韓国旅券で中国、ドイツ、タイを行き来した疑いもある。
 検察関係者は「北朝鮮の対韓国工作活動は精鋭の工作員を送り込む形から、さまざまな階層の工作員を選抜し送り込む方向に変わってきている。任務成功のため家族を動員していることも分かった」と説明した。
 検察は脱北者情報が北朝鮮に残る家族を人質にした韓国内の脱北者工作活動に利用される可能性が高いため、脱北者情報を徹底的に管理する必要性を指摘した。

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