【ソウル聯合ニュース】飲酒運転で交通事故を起こした朝鮮族(韓国系中国人)男性に対し「国益や公共の安全を脅かす行動が懸念される」として出国命令を下した処分は行き過ぎだとする判決が出た。ソウル高裁が21日、明らかにした。
 ソウル高裁は、男性が仁川出入国管理事務所安山出張所長を相手取り出国命令処分の取り消しを求めた裁判で、原告敗訴を言い渡した一審を破棄した上で原告の請求を受け入れて出国命令を取り消した。
 裁判所は判決について「この事件の処分で達成しようとする公益に比べ原告が被る不利益のほうがはるかに大きい。出入国管理事務所側は裁量権を逸脱し、乱用したと言わざるを得ない」と説明した。
 また、出国管理法が強制退去対象者の条件の一つとして「禁固以上の刑を宣告され釈放された者」と規定しており、原告のように禁固刑より低い罰金刑を受けた場合、法を慎重に適用する必要があると強調した。
 裁判所はさらに「原告が出国すれば規定により最低2年は韓国に入国できなくなる。韓国内にある生計基盤が崩れ中国にいる原告の両親を扶養しなければならないことを考えると、韓国に居住することが望ましい」と付け加えた。
 2009年2月に訪問就業ビザで韓国に入国した男性は、翌年10月に京畿道・安山市で飲酒運転中に前を走っていた車に追突し、乗っていた3人にそれぞれ全治2週間のけがを負わせた。略式起訴され罰金500万ウォン(約42万円)を言い渡された。
 男性は当局が出入国管理法規定を根拠に出国命令を下したことを不服とし訴訟を起こした。
 一審は飲酒運転の危険性、被害程度などを考慮し原告が韓国の利益や公共の安全を脅かす可能性があるとして処分は適切だとする判決を下した。

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